ウインドリバー、FSMラボからリアルタイムLinuxを取得--携帯電話デバイス市場への参入を視野に

 米国ウインドリバー・システムズは2月20日、米国FSMラボから、組み込みシステム用のリアルタイムLinux技術「RT Linux」を買収したと発表した。

 ウインドリバーのLinuxプラットフォーム担当ディレクター、グレン・サイラー氏によると、この買収の目的は自社のLinuxベースの組み込み OS「Wind River Linux」を補完することにある。リアルタイム機能により、デバイスやアプリケーションは外部イベントに即座に反応できるが、Wind River Linuxにはこれまでそうした機能が欠けていた。

 FSMラボによると、今後はウインドリバーからRT Linuxのライセンスを購入し、エンタープライズ市場での販売を続ける方針という。両社は取り引きの条件に関する詳細は明らかにしていない。

 RT Linuxは、Wind River Linuxのほか、「Wind River Workbench」開発ツールに対応するアドオン技術として直ちに提供が開始され、年末までには、これらの製品に統合される見通しだ。

 ウインドリバーは株式非公開企業で、2006年会計年度には2億6,632万ドルの売上げを計上している。

 同社が組み込みLinuxを提供するようになったのは3年前のこと。創業20年以上となる同社において、現在、主要な収入源になっているのは、航空宇宙、防衛、自動車、ネットワーキングなどの分野の機器向けに提供しているリアルタイム組み込みOS「Wind River VxWorks」である。

 サイラー氏によると、リアルタイムOSは、ロボットのほか、ヘリコプターや航空機の操縦桿、自動車のナビゲーションやブレーキ系統など、さまざまな分野で必要とされているという。

 これまでウインドリバーの組み込みLinuxのレスポンスは、デバイスやアプリケーションの限界に応じて80〜90%程度のリアルタイム性を実現する「ソフトリアルタイム」のレベルにとどまっていたが、FSMラボのリアルタイム技術を追加することで、航空宇宙や防衛産業のほか、携帯電話など、数十億ドル規模の市場に対応させらるようになった、とサイラー氏は語っている。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国ウインドリバー・システムズ http://www.windriver.com/

提供:Computerworld.jp