iPhone発売に沸く米国、各店舗は購入客で大混雑――販売目標の1,000万台は楽々クリア?

 米国Appleは6月29日、消費者や競合ベンダーの注目を集めていた同社初のスマートフォン「iPhone」を米国で発売した。各地のApple StoreやAT&Tの小売店には大勢の購入客が殺到し、大混雑となった。

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ニューヨークのソーホー地区のApple・ストア前。午後6時直前、数百に上る人であふれた

 発売待ちの人が並ぶニューヨークのソーホー地区のApple Store前は29日午後、お祭りムードに包まれた。午後6時の直前に数百人の人々が一斉に声を上げてカウントダウンを「5」から始めると、盛り上がりは最高潮に達した。発売前の1時間には、列の最後尾のほうの人に先頭近くの順番を売る人も現れた。

 販売開始の約10分前にApple社員が現れ、購入できる台数は2台までと説明し、iPhoneを購入してからアクセサリーを物色するよう勧めていた。

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映画監督のスパイク・リー氏(右)と、慈善団体「Keep a Child Alive」のスタッフ

 開店後、歓声と喧騒の中で最初に店に入ったのは、映画監督のスパイク・リー氏だった。同氏は、ニューヨークのブルックリンに本拠を置く慈善団体「Keep a Child Alive」の計画をアピールするため、同団体のスタッフとともにApple Store前に現れた。同団体は、購入したiPhoneをeBayサイトでオークションにかけ、売却代金を慈善事業に使う計画を公表している。

 「計画に参加してほしいと彼らから頼まれた」とリー氏。同氏は、同団体のスタッフが1週間ずっと列に並び続けるという「大変な仕事」を担当したと説明し、このプロジェクトに参加できてうれしいと語った。

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こちらはサンフランシスコのApple Store前

 2番目に店に入ったのは女優のウーピー・ゴールドバーグ氏で、取り囲んだ報道陣に「まだ状況がつかめていない」とコメントした。

 いつものとおり、AppleはiPhoneの初回出荷台数を明らかにしていない。Appleは2008年までの全世界での目標販売台数を1,000万台としているが、同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏は29日、製造台数は発売時の需要に対応しきれない水準かもしれないと述べた。実際、この目標はAppleの勢いからすると控えめなものだ。同社は2007年第1四半期だけで携帯音楽プレーヤのiPodを1,000万台以上販売している。

 だが、iPhoneのバッテリ駆動時間やスクリーン・キーボードの使い勝手、高価格がネックとなり、販売が低調に推移する可能性もある。iPhoneの価格は、フラッシュメモリが4GBのモデルが499ドル(約6万1,000円)、8GBのモデルが599ドル(約7万3,000円)で、利用するには AT&Tとの2年間の携帯電話サービス契約(月額料金60~100ドル)が必要となる。

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ボストンのAT&Tの小売店前でも、大勢の人が販売開始を待っていた

 しかしAppleは、「タッチスクリーン、携帯電話、iPod、モバイルWebブラウザの機能を兼ね備えたiPhoneは既存スマートフォンのシェアを大きく奪うだろう」と述べている。同社は、iPhoneのこれらの特徴が、Motorolaの「Q」、パームの「Treo」、リサーチ・イン・モーションの「BlackBerry」、サムスン電子の「BlackJack」、ソニーエリクソンの「W900」、Nokiaの「N」、LG電子の「Prada」といったスマートフォンとの差別化要素になると強調している。

 AppleはiPhone購入客の殺到に対応するため、事前に米国の直営164店の営業時間を夜中まで延長した。だが、大多数の顧客はAT&Tの小売店1,800店で購入したと見られる。AT&Tも事前に小売店の閉店時刻を通常の午後8時から午後10時に延長した。

(エリザベス・モンタルバノ&ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米国Apple
http://www.apple.com/

提供:Computerworld.jp