富士通研究所、イーサネットを複数本束ねて高性能クラスタを構築する通信ソフトを開発

 富士通研究所(本社:川崎市)は2006年10月23日、汎用イーサネットを複数本束ねることで専用ネットワーク並みの通信速度を実現するPCクラスタ向け高速通信ソフトウェアライブラリを開発したと発表した。国立筑波大学計算科学研究センターとの共同開発で、7月に稼動開始した同大学のスーパーコンピュータ「PACS-CS」に採用されている。

 一般的に高性能クラスタでは、ゼロコピー通信技術(プロセッサを介さずに通信先システムのメモリに直接データを書き込む技術)などを備える専用ネットワークが使われていたが、専用ハードウェアが必要なことなどがコスト高の要因となっていた。

 今回開発した通信ソフトは、ゼロコピー通信をソフトウェアのみで実装することで、汎用ハードウェアで利用可能にした。また、Linuxカーネル処理を分析して独自の軽量通信プロトコルを開発し、ギガビットイーサネット6本を束ねて毎秒1.4GB(転送効率93%)の実効性能を実現したという。

 筑波大学のPACS-CSシステムでは、このネットワーク技術を利用して2560ノードの超並列クラスタを構築。スーパーコンピュータの標準的なベンチマークソフト「Linpack」で10.35TFLOPSの実効性能を達成し、2006年6月のスパコンTop500世界ランキングで34位に入った。

 通信ソフトは、年内をめどにオープンソースソフトとしてPCクラスタコンソーシアムから配布される予定。同コンソーシアムでは、PCクラスタシステム用オープンソースソフト「SCore」の開発・配布も行っている。【鴨沢 浅葱/Infostand】

富士通研究所
http://jp.fujitsu.com/group/labs/

国立筑波大学計算科学研究センター「PACS-CS」
http://www.ccs.tsukuba.ac.jp/PACS-CS/