未公開のVista用ホットフィックスがインターネットに流出――Vista SP1のベースとなるパッチ集?

 Windows Server 2008のベータ・テスターだけに配布された2種類の重要なWindows Vista用ホットフィックス(修正プログラム)が先週末、インターネット上に流出した。Vistaユーザーの間では、来年リリースと言われているVista SP1(Service Pack 1)のベースとなるパッチ集との憶測が飛び交っている。

 今回流出したのは、「Vista Performance and Reliability Pack」および「Vista Compatibility and Reliability Pack」と呼ばれる2つのホットフィックス。いずれも、セキュリティとは関係のないバグを修復する多数のパッチを集めたものだ。

 具体的には、スリープもしくはハイバネーション状態からの復旧をスムーズにする、大容量ディレクトリの複製および移動を高速化する、ある種のメモリ破損問題が起こるのを防ぐ、Windows XPからVistaへのシステム・アップグレードの確実性を高める、ビデオ・ドライバとの互換性を向上させる、といった対策が含まれている。

 これら2つのアップデート・パックのリリース・ノートには、「こうした一連の問題は、『エラー報告』サービスや製品サポートなどを通じて顧客から寄せられたものである。このアップデータをインストールすることで、パフォーマンスやレスポンスの一部が改善し、さまざまな面でVistaの信頼性が向上する」と記されていた。

 nVNewsサイトをはじめ、多数のブログやフォーラムでは、「これら2つのアップデート・パックはVista SP1のベースとなるものではないか」とのVistaユーザーの声が寄せられている。しかし、Microsoftは同SP1について多くを語らず、特別に重要なものではないとの姿勢を崩していない。

 アップデート・パックのリリース・ノートには、Microsoftが公式サポート・サイトですでに説明している問題やパッチが取り上げられていたが、これも同社のSP1に対するスタンスを表しているように見える。例えば、「スリープ・モードから復帰した際、コンピュータがデフォルトのゲートウェイ・アドレスを失う問題を解決する」とされたパッチは、今年4月に配布されたVistaの修復アップデートと同じものだ。

 Vista開発者向けのAeroXperienceサイトは、両アップデート・パックのパフォーマンスを早々と検証した結果を掲載した。同サイトの記事によると、Vista Performance and Reliability Packをインストールしたシステムでは、アップデータを適用していないマシンに比べ、大容量フォルダのコピー速度が半分以下に短縮されたという。

 30日午後の時点で、少なくとも1件の非Microsoft系サイトから、これら2つのアップデート・パックのダウンロードが可能だった。Performanceパックのサイズは10GB、一方のCompatibilityパックははるかに小さい2GBである。

 Vistaのアップデート・パックがWindows Server 2008のテスターに配布されるのは、一見奇妙なことに思えるかもしれないが、2008年2月に正式版が発売されるWindows Server 2008とVistaは、特にカーネル部分で多くの共通要素を持っている。

 Microsoftは同アップデート・パックに関して、以前から進められているVista SP1テストの一環なのか、今後のMicrosoft Updateリリースに含まれる予定はあるのかといった質問に一切答えていない。同社はしばしば、毎月恒例のセキュリティ・パッチ・リリース時にその他のホットフィックスを含めることがあり、次回の月例リリースは2週間後の8月14日に予定されている。

(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)

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提供:Computerworld.jp