ポルノ・スパム業者に5年以上の実刑判決――米国スパム規制法「CAN-SPAM」施行後、初の実刑判決

 米国でポルノ画像を含むスパム・メールの大量送信に関与した罪に問われていた2名の男性に対し、5年以上の実刑判決が下された。2003年に米国で制定された無差別メールの送信を規制する「CAN-SPAM法(Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing Act)」が施行されて以来、初めての実刑判決となった。

 カリフォルニア州ベニス在住のジェフリー・キルブライド被告(41歳)と、アリゾナ州パラダイス・バレー在住のジェームズ・シェーファー被告(41歳)は共に、電子メール・ヘッダやドメイン名の偽装を禁じたCAN-SPAM法違反を含む8件の罪状で起訴され、今年6月、フェニックスの連邦陪審は有罪の評決を下していた。この事件は、CAN-SPAM法違反として初の裁判だった。

 連邦地方裁判所のデビッド・キャンベル判事は10月12日、キルブライド被告に72カ月の禁固刑、シェーファー被告には63カ月の禁固刑を言い渡した。

 検察側の訴えによると、両被告は他の協力者3名と共に、ハードコア・ポルノ・サイトを宣伝する迷惑メールを数百万通送信したという。受信者がこの迷惑メールを開封すると自動的にポルノ画像が表示されてしまう。2003年にCAN-SPAM法が制定された後、キルブライド被告とシェーファー被告は米国から送信している事実を隠すため、オランダのサーバを経路し、送信者のドメイン名を偽装していた。これにより、両被告は、わずか1年強の間に宣伝していたWeb サイトから100万ドル以上のコミッションを稼いだという。

 キャンベル判事は、禁固刑に加えそれぞれに10万ドルの罰金と、米国AOLに対する損害賠償金7万7,500ドルの支払い、さらに不正に得た利益約110万ドルの返還を命じた。

 同事件に関与した他の3名、ジェニファー・クレイソン(32歳・アリゾナ州テンペ在住)、アンドリュー・エリフソン(31歳・アリゾナ州スコッツデール在住)、カーク・ロジャーズ(43歳・カリフォルニア州マンハッタンビーチ在住)はすでに罪状を認めており、同裁判ではキルブライド/シェーファー両被告に不利な証言をしている。

 なかでもクレイソン被告は、罪状を認めた後、2006年3月の調査で、在宅ワーキング・マザー向けWebサイト「MommyJobs.com」を運営していたことが判明、さらに悪評を高めた。同サイトにはポルノ・サイトへの直接リンクはなかったものの、典型的スパムである一攫千金の方法を宣伝する広告が掲載されていた。

 クレイソン被告は昨年、MommyJobs.comで同サイトから手を引くことを表明し、自分は被害者であると主張。被告は「5年間も自分が信用していた人物に裏切られた。彼は違法なスパム・メール送信の運営をしていただけでなく、ほかにも資金洗浄などを行っており、私はまったく知らされていなかった」と MommyJobs.comの掲示板に書いている。

 なお、クレイソン被告の判決はこれまで何度も延期されてきたが、今年11月26日に正式に判決が下される見通しとされている。

(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)

MommyJobs.comの掲示板
http://www.mommyjobs.com/boards/viewtopic.php?p=3206

提供:Computerworld.jp