中国:「ネット検閲は貿易障壁」 米団体がWTO提訴を要求

 米国の報道機関などが運営する団体「CFAC」は12月10日(現地時間)、「中国のインターネット検閲は米国企業の市場参入を妨げている」として、米政府に世界貿易機関(WTO)への提訴を呼び掛けると発表した。検閲は従来、人権の観点から批判されてきたが、切り口を変えて通商問題として追及する試みで、注目される。

 CFACは新聞社などが会員で、言論の自由を守る活動をしている。検閲によって米国のネット企業の中国ビジネスが制限されていると主張。「WTOのルールに違反している」として、米通商代表部(USTR)に提訴を促す。

 中国はネットで反政府的な記述が見つかっただけで、関係者を処罰しており、国際社会から批判を浴びている。米Yahooなど対中進出している企業は“犯人”探しへの協力を迫られ、中国の要求と米国の世論の板挟みになっている。Yahooと米Googleの関係者もCFACの役員になっており、両社の期待も反映しているとみられる。

 北京では11日から米中の閣僚による経済協議が始まる予定で、それにタイミングを合わせて、提訴を呼び掛けたとみられる。ネット事業がWTOの対象になるかどうかは不透明で、USTRは難しい対応を迫られそうだ。【南 優人/Infostand】

CFAC
http://www.cfac.org/