デジタル音楽:コピー制限なしで販売へ ソニーBMG

 米SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENTは1月7日(米国時間)、音楽のダウンロード販売で、コピーを制限しないMP3形式での販売を開始すると発表した。従来は海賊版予防のため、複製できない仕組みになっていて、購入者にも不自由を強いていた。業界大手4社のうち英EMI、米Universal Music Group、米Warner Music Groupは同様の試みを始めており、ソニーBMGも追随する。

 具体的には、北米の家電量販店などで「Platinum MusicPass」というカードの販売を開始する。裏側に番号が書かれており、それをウェブサイトで入力すると、MP3形式の音楽データをダウンロードできる。著作権管理技術(DRM)で保護されていないため、どんな端末でも再生可能なのがメリットだ。

 DRMは「Appleが販売した音楽はiPodでないと再生できない」といった問題を生み、消費者の権利の侵害と批判されている。一部の欧州諸国では、行政機関が問題視するようになったため、業界が方針転換を迫られた。

 当初は37種類の「MusicPass」を販売する。ブリトニー・スピアーズのアルバム「ブラックアウト」や、セリーヌ・ディオンの「テイキング・チャンシズ」、エルビス・プレスリーやボブ・ディランのベスト盤も取りそろえる。1枚のカードでアルバム全曲とボーナス・トラックをダウンロードできる。

 価格は12.99ドルで、Appleのアルバム販売価格(9.99ドル)より割高。カードはCDのジャケットと同じ絵柄で、デザインも楽しめる利点をPRしている。わざわざカードにして家電店で販売するのは、Appleに奪われた業界の主導権を取り戻す狙いもありそうだ。【南 優人/Infostand】

Platinum MusicPass
http://gift.musicpass.com/