GPLは合衆国憲法違反!

これを知ったのは、敬愛する米国企業SCOの声明によってだった。正確に言うと、第8回Affirmative Defense(積極的抗弁)の一部である Answers to IBM’s Amended Counterclaims(修正版IBM反訴への回答)(pdfのダウンロード)の中で、「GPLは、著作権法、独占禁止法、輸出制限法に加えて、合衆国憲法にも違反している」と記されている。

米国在住者はLinuxなどのGPLソフトウェアを使用するのを即座にやめる必要があるという意味だろう。司法長官John Ashcroftにドアをノックされるのなどまっぴらである。

米国人以外のNewsForge読者は今すぐ次のニュースに進んでもかまわない。 合衆国憲法に拘束されているわけでもなく、 アメリカ合衆国を世界で最も偉大なる国たらしめている理念を理解しているわけでもないため、この記事を読む理由はない。

しかし、我が同胞の米国人はよく聞いてほしい。 Linuxは合衆国憲法違反であり、使用している人間は愛国者とは言えない。 オーストラリア人が主役の映画をレンタルできないのはもちろん、 Patriot Act(愛国法)違反になる可能性が高く、 深刻なトラブルに巻き込まれかねない。

米国の連邦職員や軍人の公職宣誓は次のようになっている。

私(各自の名前)は謹んで宣言(賛同)する。 合衆国憲法を支持し、国内外のあらゆる敵から合衆国憲法を防衛することを。 真の信仰と忠誠を持ち続けることを。 躊躇や言い訳なしでこの責務を快く享受することを。 自分が所属することになる組織の任務を誠実に果たすことを。 神に誓って。
つまり、米国のすべての政府職員と軍人はGPL──および、GPLソフトウェアを使用するユーザー──に敵対することを誓わされるわけだ。

自宅や職場でLinuxを使用している連邦職員や軍人にとっては ちょっと厳しいことかもしれないが、何らかの特別な支給を受けられるはずだ。 そうでなければ、全員が職を辞して米国を去ってしまうだろう。

悪いことに、SCO自身がLinuxを使用し、GPLに基づいて配布したことがあり、ほかのGPLソフトウェアを今でも配布していることを認めている。

当然、GPLの憲法違反に関する連邦の調査(強制捜査)の最初のターゲットは SCOになるべきであり、SCOの管理職や代理人は愛国心の欠如のせいで有罪になり、 GPLを使ったがゆえに牢獄に送られる最初の人間にならなければおかしい。

NewsForgeはLinux(および、その他のGPLソフトウェア)で運営しており、 私もホームオフィスでLinux(および、その他のGPLソフトウェア)を運用しているため、 私もDarl McBrideを始めとするSCO幹部陣とともに連邦刑務所に投獄されることになるだろう。

ただし、そうなっても心配はいらない。 (有罪判決が下される前にフィンランドに逃げ出さない限り) Linus TorvaldsからLUGの友人に至るまで、数百万の人々も投獄されるはずだからである。 したがって、私がSCOの人々と付き合う必要はないだろう。 私を監房から誘い出してくれる心地よい友人がたくさんできるはずだ。

では、皆さんはどうだろうか。

合衆国憲法に歯向かってLinuxを使い続ける覚悟はあるだろうか。 それとも、Linuxから足を洗って、Windows(または、最低でも市販のUnix)に鞍替えし、 Ashcroftの手先から課される刑期を逃れるのだろうか。 あるいは、もっと悪いことに、裏切り者になって、法廷(おそらくはPatriot Actに基づいて 開催される「非公開」の聴聞会)で、Linuxユーザーや、サダムフセイン、北朝鮮、民主党などの 反アメリカ勢力とのつながりについて証言するつもりだろうか。

でなければ、滑稽に聞こえるかもしれないが、SCOの管理職や弁護士たちは 本当に頭がおかしくなったのだろうか。

それとも、滑稽だとは思うが、 SCOの新たな発表を聞くたびに確信が強くなるとおり、 これはすべて壮大な悪ふざけなのだろうか。

SCOのドタバタ劇があまりにばかばかしい大騒ぎになったため、そのうちに Darl McBrideが記者会見を開いて、Bill GatesやSteve Ballmerと腕を組み、 大笑いしながら「まったく、うまく騙せたものだよ。まさか我々が本気だと思っていたんじゃないだろうね。 ワハハハ」と語っても不思議ではない。

次のエイプリルフールまでまだ5か月以上もある。

ずいぶん先だが、我々は忍耐強いから、このいかしたジョークを 彼らが口に出すのを待つにやぶさかではない。

編集部注:この記事に含まれる意見は、opentechpress.jp編集部の見解と 一致するとは限りません。