Linux.comの記事、イスラエルのGPL訴訟の陳述となる

IChessu社によるGNU General Public License(GPL)侵害を問う裁判がイスラエルで起こされたことをLinux.comが以前に報じた翻訳記事)が、この記事が訴訟の陳述の一部となっている。ただし、どの一部かという点で意見が分かれる。原告のAlexander Maryanovsky氏は、この記事は訴訟を有利に進める材料になったとする。対照的に、被告弁護団は訴訟への関連性は低いと見る。

この訴訟は、Javaベースのチェス・クライアントJinの開発者Alexander Maryanovsky氏が、IChessuと同社CEOのAlexander Rabinovitch氏を相手取って起こしたものだ。Maryanovsky氏によると、被告はJinを基に独自のクライアントを開発したが、複数の点でGPLに違反している。制約の多いEULA(使用許諾契約)の下にリリースしたこと、派生物をGPLの下でリリースする行為を禁止したこと、著作権表示の保持を無視したことなどは、GPLに違反する。さらに、IChessuサイトにJinのスクリーンショットが掲載されていることも自分の著作権を侵害すると、Maryanovsky氏は抗議する。Rabinovitch氏は、IChessuのクライアントがJinに基づくことを否定しないが、GPL違反については一切認めていない。

Linux.comが9月に報じた時点で、Rabinovitch氏がカナダに転居し、訴訟の通知を送達できなかったため、判決は延期されていた。現在、Linux.comに寄せたRabinovitch氏のコメントを本人への通知の代わりとして受け付けるかどうかを巡って、法的な議論が交わされている。前回の記事で、「Maryanovsky氏の主張は、法的なものというよりは、欲や傷付きやすいエゴから来ているものの方が多いのです」などとRabinovitch氏はコメントし、この訴訟を「ばかげている」、「恐喝の手口」だと主張した。

Maryanovsky氏は、このようなコメントは「Rabinovitch氏が訴訟についてよく知っていることを法廷に証明する十分な証拠であり、イスラエルの法律で陳述に代わるものと認められます」と指摘する。Rabinovitch氏が反訴を起こさなかったため、10月末にMaryanovsky氏はヘブライ語で書かれた不出廷での判決の要望書を提出し、30日以内の結審を要請した。

ところが、10月末、Maryanovksy氏の弁護士Jonathan J. Klinger氏は、IChessuとRabinovitch氏がHaim Ravia氏を代理に立てるとの連絡を受けた。Ravia氏は、イスラエル屈指の敏腕弁護士であり、知的財産権やインターネットを得意分野とする。11月29日、テルアビブ地方裁判所が判決の要望書を受理したが、この決定に対する反論の提出期限として20日間をRavia氏に与えたという知らせが、Klinger氏にもたらされた。

Linux.comの問い合わせにRavia氏は、Linux.comの記事に掲載されたRabinovitch氏のコメントを陳述に代わるものとは考えていないことを明らかにした。そして、通知を通常の方法で送達するようKlinger氏はもっと努力すべきだったと指摘した。「原告は訴状を被告に通知することを怠りました。別の通知方法を承認するよう法廷に求めることもできたのに、そうしなかったのです」

Ravia氏は、同氏の法律事務所が被告の弁護に雇われたときに原告の法廷への提出物が自分にも渡されるべきだったと言う。「そうしなかったのに、原告は不出廷で判決を下すことを法廷に要求し、反訴が提出されていないと主張したのです(もちろん、提出できるはずがありませんし、提出すべき理由もありません。被告は訴状を受け取っていないのですから)。当方は、[この]要求が訴訟の本質的な陳述の立証を避けようとする企てと見なします」

Ravia氏は、Linux.comの記事について直接は言及していない。だが、原告の立場における重要性は高いので、今月後半に下される判決を前に、審理に対する記事の関連性を巡る議論は避けられない見通しだ。

Bruce Byfieldは、NewsForge、Linux.com、IT Manager’s Journalへと定期的に寄稿するコンピュータジャーナリスト。

NewsForge.com 原文