Swiftfoxのライセンスは、オープンソース系ブラウザに対する背信行為か?

 SwiftfoxはFirefoxをベースとしたブラウザの一種であるが、両者の間には1つの大きな隔たりがある。つまりSwiftfoxのライセンスは第三者による再パッケージングや再配布を禁じているため、Swiftfoxを友人に直接手渡したり、Linuxディストリビューションのリポジトリに登録することはできないのだ。

 Swiftfoxの開発者であるJason Halme氏のサイトには、「こうしたライセンス制限が設けられているのは、バイナリ作成ないし再配布時に有害な改変を加えられたバージョンがSwiftfoxユーザの手に渡ることを防止するための措置です」という説明が記されている。しかしながら、そうした措置自体がセキュリティ上の問題を引き起こすことになりかねない。一般にLinux系ディストリビューションのリポジトリに登録されたアプリケーションについては、当該ファイルのコードに対して様々な人間による監視の目が光ることになる。それに対して上述したSwiftfox方式の場合、いわばユーザは、開発者1人を信頼するだけで安心感を抱けるかを問われているに等しい。

 確かに、自分が構築したコードをどのような形態でライセンスするかの選択権が開発者本人にあることに間違いはないが、ここでもまた新たな問題が提起されることになる。Swiftfoxはフォーキングして作られたものではなく、あくまでビルドし直されただけのものに過ぎない。Swiftfoxバイナリをコンパイルした結果として、グラフィックの一部とともにライセンスが変更されたものが与えられはするのだが、コードそのものには何らの変更や改良も施されていないのである。つまりこの開発者は、Swiftfoxはフリーなアプリケーションだと思いこんだユーザを欺いていることになる。確かに無料の意味でのフリーなアプリケーションではあるが、自由の意味のフリーなアプリケーションではないからだ。

 LinuxユーザがFOSS系アプリケーションを好んで使用しているのは、そうしたコードの入手、利用、改変、共有、改善が必要に応じて行えるからに他ならない。こうした自由に対する権利を誰かが制限するとしたら、それは歓迎せざるべき行為として受け止められることになるだろう。どうやら、ことブラウザ開発については、そうした点に配慮しようとしない人間が一部には存在するようである。

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