「GPLv3適用ソフトは一切サポートしない」――Microsoftが明言「われわれのいかなる活動にもGPLライセンスは不要だ」
MicrosoftとNovellは昨年11月に提携し、WindowsとSUSE Linuxの相互運用性の確保、MicrosoftがNovellを特許侵害で提訴しないこと、NovellがLinux製品の販売実績に基づいてMicrosoftにロイヤリティを支払うこと、Microsoftが大量のLinuxサブスクリプションを購入すること、などを取り決めた。
Microsoftは5日に発表した声明で、同社の活動は、GPLv3には一切かかわりがないと強調した。
Microsoftの知的財産/ライセンシング担当副社長、ホレイショ・グティエレス氏は、「MicrosoftはGPLv3ライセンスにかかわる当事者ではない。当社の行動から、当社がGPLv3の契約当事者としての立場を受け入れている、あるいは、こうしたライセンスの下で法的義務を負っている、と考えるのは誤解だ」と声明の中で述べている。
GPLv3は6月29日に発表された。新規約を中心になって取りまとめたリチャード・ストールマン氏は、GPLv3について、MicrosoftがNovellと締結したような契約が、今後締結されることを防ぐ効果があると強調している。
ストールマン氏は5月末に発表した論文の中で、「MicrosoftはNovellとの契約でいくつかのミスを犯した。GPLv3には、Microsoftにとって不利な内容が盛り込まれている。両社の契約では、特許保護の対象が限定されているが、GPLv3では、保護対象がコミュニティ全体に拡大されている」と説明した。
そのうえで同氏は、「プログラムをGPLv3の下で配布すれば、Microsoftはプログラムの再配布者に対し、プログラムの利用者からロイヤリティを徴収させることができなくなる」と主張する。
また、フリー・ソフトウェア・ファウンデーション(FSF)の弁護士は、「GPLv3の下では、例えば、MicrosoftがGPLv3でカバーされるソフトウェアのサポート契約を提供または販売すれば、MicrosoftはLinuxディストリビューターとなり、法的に同ライセンスの規定に拘束される」という見解を示している。
そうなれば、MicrosoftがNovellに提供した特許保護が、オープンソース・コミュニティ全体に適用されることになる。
しかし、Microsoftはこの見解を認めない考えを示しており、5日の声明でも、その考えを次のように表明している。
「MicrosoftがNovellとの相互運用性に関する提携の下で、Novellのサポート・サービスに対応する証明書を配布していることが、GPLv3ライセンスを受け入れていることに相当する、という主張が一部にある。しかしわれわれは、そうした主張には、契約法や知的財産法、そのほかの法に基づく正当な法的根拠がないと考えている」
グティエレス氏は、「実際、われわれは、サポートに関する証明書の配布も含め、MicrosoftがNovellとの提携に基づくいかなる協業においても、GPLライセンスは不要だと考えている。Novellが将来、GPLv3コードを配布することを選択したとしてもだ」と述べた。
同氏はさらに、「当社は、GPLv3の下でも、あるいはその帰結としても、暗黙または明示的な特許権を認めていない。GPLv3ライセンサーは、Microsoftの代理としての権限も、Microsoftを拘束する権限もない」と強調する。
Microsoftのこうした見解について、法律事務所DLAパイパーのパートナー、マーク・ラドクリフ氏は、次のように指摘する。
「MicrosoftがGPLv3の条項に懸念を抱いているのは明らかだ。Microsoftは今回の声明で、彼らの基本的な法的認識を示した。将来、Novellが提供する製品には、GLPv3でカバーされるものも含まれるかもしれないが、Microsoftは、そのために混乱に巻き込まれたくないと考えているようだ」
実際、Microsoftのグティエレス氏は次のように述べている。「この問題を巡る誤解や法的論争を回避するために、当社は顧客に配布するNovellサポートの証明書について、『受領者に対し、GPLv3でライセンスされるコードにかかわるサポート・サブスクリプションや更新プログラムを、Novellまたは他社から入手する権利を保証するものではない』ことを明確に定めている」
(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)
米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp