企業アプリケーション基盤を支えるLinux製品が続々登場――企業の必需品になりつつあるLinuxとオープンソース

 今週米国サンフランシスコで開催されている「LinuxWorld Conference & Expo 2007」(8月6~9日)では、Linuxが企業にとって必需品になりつつあることを印象づける数多くの新製品が発表されている。

 その好例と言えるのが、Black Duck Softwareのライセンス管理ツール、SpikeSourceのビジネス・コラボレーション・ツール、Talendのデータ統合/ETL(抽出/変換/ロード)ツールなど、企業アプリケーション基盤を支えるLinuxツールの新製品だ。

 米国エンタープライズ・アプリケーションズ・コンサルティング(EAC)の代表、ジョン・グリーンバウム氏は、アプリケーション・スタックをサポートする “最低限の”OS機能を求める企業にとって、Linuxは最適なOSだと強調する。しかし、Linuxとさまざまなアプリケーションとを緊密に連携させようとすると、壁に突き当たる。この分野では、Microsoftがかなり先行していると同氏は説明する。

 「Microsoftは、VistaをSharePointやOfficeと結び付け、緊密に統合された一連の製品を開発することで付加価値を提供しようとしている」(グリーンバウム氏)

 しかし、同氏によると、オンデマンド・ソリューションとオープンソースの台頭には、強い相関関係が見られるという。オンデマンド・ソリューションも、オープンソースも、扱いやすさという点で優れており、低価格のライセンスと容易なアップグレード・パスを提供するなど、TCO(保有総コスト)の削減にも大きく寄与している。

 オンデマンド・ソリューションとオープンソースは、いずれもソリューション・プロバイダーの将来性とソフトウェアの機能性を示さなければならないという課題に直面している。しかし、今回のLinuxWorldで発表されたLinux製品は、いずれもそうした課題を解決しようとするものであり、これらのハードルが克服されつつあることを示している。

 Black Duck Softwareは、ソフトウェアのコードが既存のライセンス要件を順守しているかどうかを監視できる「protexIP/development 4.4」を発表、対応するナレッジベースのアップグレード版の出荷も開始した。また、同社の最新ソリューションでは、ベンダーから供給されたオープンソース・アプリケーション用のコードとコンポーネントも提供している。Black Duckの幹部によると、protexIP 4.4には、最近リリースされたオープンソース・ライセンス規約の変更も盛り込まれているという。

 SpikeSourceは8月6日、Web 2.0統合ソフトウェア・プラットフォーム「SuiteTwo」の次期バージョンを発表した。同社は、Wikiとブログという2つの有力なWeb 2.0コラボレーション・アーキテクチャを統合することで、先進的なWeb 2.0ユーザーの支持を獲得している。SuiteTwoの新バージョンでは、統合機能が強化されるほか、日本語もサポートする予定だ。

 一方、Talendは、データウェアハウス・プラットフォームとの連携を実現する「Talend Integration Suite」を投入することで、Linuxベースのアプリケーションをデータセンターの中心に据えようとしている。これまで同社は、ETLデータ統合をサポートする「Talend Open Studio」を提供していたが、新ツールでは、大規模エンタープライズ・システム環境にターゲットを絞った機能をサポートしたほか、大規模な導入作業に対応するプロフェッショナル・サービスの提供も開始されている。

 新機能の中には、メタデータを共有するための「Shared Repository」、導入作業を管理し、グリッド上で先進的な作業スケジュール設定や割り振りを行う「Job Conductor」と「Grid Conductor」、処理作業やCPUの利用を無効にする「CPU Balancer」、遠隔実行を可能にする「Distant Run、Activity Monitoring Console」や「Dashboard」などが含まれている。

 EACのグリーンバウム氏は、Linux上で稼働するこれらのアプリケーションは、Linuxが企業にとって必需品になったことを象徴するものだと指摘している。

(エフライム・シュワルツ/InfoWorld 米国版)

「LinuxWorld Conference & Expo」
http://www.linuxworldexpo.com/

提供:Computerworld.jp