Red Hat、OpenJDKプロジェクトに正式参加――LinuxにとどまらないOSS戦略のためにJavaへの注力度合いを高める

 米国Red Hatは、Sun Microsystemsが推進するオープンソースJava Standard Edition(SE)プロジェクト「OpenJDK」に正式参加する。

 Red HatのJBoss製品管理担当バイスプレジデント、ショーン・コノリー氏によれば、同社は、SunのOpenJDKコントリビューター契約に調印し、同社がIcedTeaプロジェクトで行った開発作業をOpenJDKと一致させることになったという。

 IcedTeaとは、Java SE JDKの一部を開発するプロジェクトで、Linux環境においてキーとなるJava技術を、Red Hatが主導するFedoraプロジェクトに結び付けようとするものだ。OpenJDKプロジェクトの中に残されている独自技術の代替をオープンソースで提供するという役割を担う。

 加えてRed Hatは、OpenJDK Community Test Compatibility Kit(TCK)のライセンスも取得した。これによりRed Hatは、同社が開発するOpenJDK実装のテストを行い、OpenJDKプロジェクトの実装との互換性を確保できるようになるという。

 なお、OpenJDKのベースとなっているJava SE JDKは、Java Runtime Environment(JRE)のほか、Javaアプレットやアプリケーション開発ツールを搭載している。また、デスクトップJavaアプリケーションの基盤となるソフトでもある。

 OpenJDKプロジェクトに参加する一環としてRed Hatは、同社の「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」と互換性のあるOpenJDKを開発するほか、Linux環境に最適化された「JBoss Enterprise Middleware」対応のランタイムもOpenJDKを使って開発する予定だ。

 Red Hatは、かつてOS市場でSunとライバル関係にあり、Javaの開発を支援するコミュニティでの活動にも消極的だった。それが昨年4月にJBossを買収したことで状況が変わった。現在同社は、Linuxの枠を超えたオープンソース戦略を進め、その第一歩としてJBossを活用している。そのため、同社の製品戦略において、Javaの重要度が高まっているのが現状だ。

 JBossは、Java技術の全般的な戦略を統括するJava Community Process(JCP)で積極的に活動している。Red Hatのミドルウェア部門は、今月初め、JCP内のSE/Enterprise Edition(EE)プロジェクトを担当するエグゼクティブ・コミッティに再選された。任期は3年であり、再選前は独立系ベンダーの立場でJBossがコミッティに参加していた。

 Red Hatは、JBossミドルウェアをRHELとともに出荷している。この製品には、IBM、Sun、BEA Systemsが開発した3種類のJava SE JDK実装が含まれている。この状況は当面続く予定だが、同社は将来的にオープンソースのJDKに移行する予定だ。そうなれば、サードパーティがソフトウェアをアップデートするタイミングを気にする必要がなくなり、機動的に製品を改訂できるようになるとコノリー氏は語っている。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

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提供:Computerworld.jp