PokerTHでオールイン

 「テキサス・ホールデム」は、Wikipediaによると「アメリカ国内のカジノにおいては最もポピュラーな種目」だ。GPLの下で公開されていてマルチプラットフォーム(Linux、Windows、Mac OS X)のPokerTHは、手元のデスクトップで最大6人までのコンピュータを相手にして、あるいはインターネットサーバに接続して人間のプレイヤーを相手にして、テキサス・ホールデムを楽しむことができる。

 PokerTHのパッケージが手元のディストリビューションの中に含まれていない場合には、SourceForge.netにあるプロジェクトのページからPokerTHのソースコードか実行ファイルをダウンロードすることができる。PokerTHはまだバージョン1.0に達していないものの完成度は非常に高く、openSUSEやUbuntu 7.10などのディストリビューションには標準で含まれている。なおソースから構築したい場合には、要求条件や構築の際にQtの適切なバージョンをリンクするためのヒントなどを確認するために必ずINSTALL文書に目を通すようにしよう。

 ポーカーをしたことがあるが「テキサス・ホールデム」スタイルのポーカーはしたことがないという場合には、リアル/バーチャルを問わずゲームを始める前にテキサス・ホールデムについてのいくつかの基本事項を学んでおこう。少なくとも「ブラインドベット」や「ベットラウンド」の概念は押さえておいた方が良いだろう。ポーカーをまったくしたことがない場合には、先に進む前にもっと知っておくべきことがある。

コンピュータと対戦する

 まず始めにメニューバーにあるView(ビュー)をクリックして、デフォルトの設定を好みにより変更する。デフォルトではPokerTHは(フル画面モードではなく)ウィンドウモードで起動し、Hands(ハンド)、Chat(チャット)、Log(ログ)ウィンドウをそれぞれ表示する。Hands(ハンド)ウィンドウは、ロイヤルフラッシュからハイカードまでの様々なハンドのランクを覚えられない場合に役立つだろう。

 ゲームに関するオプションを設定するには、メニューバーにあるGame(ゲーム)をクリックして、Settings(設定)を選択する。ゲームのインターフェース、プレイ方法(ローカル/ネットワークホスト)、ログ表示などについてのデフォルトを変更することができるだけではなく、自分やコンピュータの対戦相手にニックネームやアバターを割り当てることもできる。

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PokerTH: Texas Hold’em

 デフォルトのゲームのインターフェースは少しごちゃごちゃしているものの、ゲームをするために必要な情報がすべて表示されている。右の図は、7人でプレイしている様子を示している。各プレイヤーの持ち札は、ウィンドウの左や上や右に並べて表示されている。ウィンドウ左下にはHands(ハンド)/Chat(チャット)の枠が表示されていて、ウィンドウ右下にはゲームのログ(ハンドの間に行なわれたベットの全記録)が表示されている。ウィンドウ中央には、コミュニティカードとともに、ポットの総額や、セッション中の現在のハンドやゲームの番号についての情報も表示されている。ディーラー、スモールブラインド、ビッグブラインドはそれぞれ、各プレイヤーの枠の左下のマークによって示されている。

 ゲームは、スモールブラインドが10ドル、ビッグブラインドが20ドルで始まる。これらの額はしかるべきプレイヤーから自動的にポットに集められる。ベットはビッグブラインドの右隣のプレイヤーから始まり、各プレイヤーは順番に、現在のベットに対してフォールド/コール/チェック/レイズを行なわなければならない。ベットの額はビッグブラインドの額から始まるが、当然ながらプレイヤがベットをレイズすれば増額されていく。現時点のポットの総額は、Sets(セット)としてコミュニティカードの上に表示される。ハンドの中で各プレイヤがポットに入れた額は、各プレイヤーの持ち札のすぐ下のSets(セット)の額として表示されている。また各プレイヤーが所有する金額はそれぞれの持ち札のすぐ左側に表示される。

 ベットの最初のラウンドが終了すると、最初の3枚のコミュニティカード(「フロップ」)がウィンドウ中央に表示されて、スモールブラインドであるプレイヤーからベットの次のラウンドが開始される。自分の順番が回ってきたときに、ベット用の3つのボタンのうちの中央のボタンの表示がCall(コール)ではなくCheck(チェック)になっている場合がある。その場合には、ポットに賭け金をそれ以上追加せずにハンドに参加し続けることができる。そうではなくCall(コール)と表示されていてCall(コール)をクリックした場合には、まだハンドに残っているプレイヤで自分の右隣に当たる直前のプレイヤーのSet(セット)額に等しい額を出すことになる。

 自分の順番が回ってくると、選択することのできる3つのボタンが自分の持ち札の右側に表示される。通常それらのボタンはRaise(レイズ)/Call(コール)/Fold(フォールド)だが、どれもゲームの状態によって変わることがある。ベットあるいはレイズしようとする際には、そのラウンドでベットがすでに行なわれたかどうかによって一番上のボタンの表示はBet(ベット)かRaise(レイズ)のどちらかになる。そしてBet(ベット)またはRaise(レイズ)をクリックすると、3つのことが起こる。まずボタンが、掛け金の額を入力する(上下矢印を使用して額を上下させることもできる)ための枠に変わる。次に、Fold(フォールド)ボタンがAll-In(オールイン)に変わる。最後に、Call(コール)/Check(チェック)ボタンがSet(セット)に変わる。すでにAll-In(オールイン)をクリックしたのでなければ、Set(セット)をクリックしてベットの額を確定する。

 ゲームは一人を残した全員が手持ちの金額をすべて使い果たして敗退させられるまで続けられる。ゲームのインターフェースには試してみると良い調整機能があと2つあって、どちらもログが表示されている右下の枠の中にある。一つはゲームの速度を変えるためのスライダーバーだ。デフォルトでは4に設定されているが、11まで変更することができる。私の場合デフォルトの速度は遅すぎるように感じたので最低でも8に設定してプレイしていた。

 高速でプレイするのはハンドが終わるまでは良いのだが、その後は問題になるかもしれない。というのも速度の設定によって、ハンドの終わりに対戦相手のカードが表示される時間も変わるので、私の場合、高速にしておいたときにはカードを十分に確認しきれないことが多々あった。そこで2つめの調整機能が役に立つ。すなわち、スライダーの右にあるStart(開始)/Stop(停止)ボタンだ。ハンドの途中でStop(停止)ボタンをクリックすれば、ゲームは通常のように自動的に次のハンドに進まずにハンドの終りで一時停止する。そしてStop(停止)ボタンがStart(開始)ボタンに変わり、点滅してクリックを促す。

ネットワークプレイ

 今回私は自分のLAN内以外の相手とネットワーク対戦をする機会に恵まれなかった。機能的には問題なく行なうことができるようだが、現在のところは対戦相手を見つけること自体が難しい。対戦相手を見つけるためには、2つの方法が勧められている。一つはirc.freenode.netの #pokerthチャンネルに参加することで、もう一つはPokerTHポータルのゲームカレンダーを確認してみることだ。PokerTHポータルではゲームの予定を立てたり他の人のゲームの予定を知ることができる。しかし残念ながら、これまでのところ私は対戦相手を見つけることができなかった。

 ただしLAN上でプレイしたときに、コンピュータと対戦する場合と比べてゲームのプレイ方法とインターフェースにいくつか違いがあることに気付いた。すなわち、Hands(ハンド)/Chat(チャット)枠のデフォルトがChat(チャット)になっていることと、自分がベットする番になるとチャイムが鳴ることと、ベットするまでの残りの制限時間を示すグラフが現われることだ。ベットするまでに与えられている時間のデフォルトは25秒で、その時間内にベットすることができなければ自動的にCall(コール)かCheck(チェック)することになる。

 今回試したバージョン0.5(安定版)ではインターネットプレイをすることができなかったが、バージョン0.6(ベータ版)では信じられないほど簡単にできるようになっている。バージョン0.6では、メニューバーからGame(ゲーム)を選ぶと、Local(ローカル)とNetwork(ネットワーク)に加えて新たにInternet(インターネット)という3つめのタイプのプレイ方法の選択肢が提供されるようになった。Internet(インターネット)をクリックすれば、他のプレイヤとチャットしたりインターネットプレイをしたりすることのできるゲームロビーがある、常設のPokerTHサーバに接続することができる。

まとめ

 コンピュータと対戦するだけであっても、PokerTHはテキサス・ホールデムを習得したり、あるいはただただ時間をつぶしたりするための素晴らしいプログラムだ。コンピュータと対戦する場合、PokerTHは複数人を相手にすることのできる、非常に洗練された一人用ゲームだと言うこともできるだろう。また0.6で新たに追加されたインターネットプレイは間違いなく、相手を見つけるという問題を解決してくれるだろう。

 個人的には、現時点でベットをコールすることのコストがもっと分かりやすいようなインターフェースに変われば嬉しいと思った。現在のインターフェースでは、その情報を知るためにウィンドウをあちらこちら見回す必要があるが、Call(コール)ボタンのすぐ隣にコストとなる額が表示されていれば、ゲームをするのがより簡単で高速になると思う。また各ハンドの最後で他のプレイヤのすべてのカードを確認できるように、Stop(停止)ボタンをクリックしておかなくても一時停止するオプションもあれば良いと思った。

 とは言えこれらは細かい不平で、他の人は同意しないかもしれないような点だ。全体的には私はPokerTHにオールインしている。PokerTHはLinux用ゲームの世界における嬉しい存在であり、常設のゲームサーバがもっと増えればさらに楽しめるようになるだろう。

Linux.com 原文