Alexandria:ブックカタログのあるべき姿

 GNU/Linuxでは、小さなプログラムで1つのことをきっちりとやる、という伝統が受け継がれている。この伝統に当てはまる最近の例が、 Alexandria というGNOME用の専用ブックカタログプログラムだ。少し手を加えれば、KDEのTellicoに迫る使い勝手のよさで書籍以外のコレクション(とりわけ音楽)も扱えるようにできるだろうが、Alexandriaは実直にも、対象を書籍に絞り、ライブラリ、ステータス、レーティングといった構成を保っている。Alexandriaは、オンラインのLibraryThingに非常に似ていると言えるだろうが、実際にはLibraryThingよりも先に存在しており、また個人のデスクトップ用途に作られている。

 AlexandriaはDebianパッケージまたはソースパッケージで入手できる。数年間アップデートされていなかったが、最近バージョン0.6.2.b2がリリースされた。新しいインターフェイスは以前のバージョンとほとんど同じで、左側の目次ページにライブラリが一覧表示され、選択したライブラリのコンテンツが、並んだブックカバーまたは一覧のいずれかで右側に表示される。大きな違いは、いくつかのビュー、または個別の書籍に割り当てられたレーティングに基づいたSmart Librariesが、左のペインに含まれるようになったことだ。「Read」「Wishlist」「Owned」「Loaned」および「Favorite」がデフォルトのビューだが、タグに基づいてビューを追加することもできる。

 ライブラリはAlexandriaにとってのディレクトリであり、構成における主要な原則である。たとえば、デフォルトの「My Library」の名前の下に、単一のライブラリにすべての書籍を収めることもできれば、テーマや出版社ごとに複数のライブラリを作成することもできる。また、1行に1つのISBN番号を記入したテキストファイルやTellicoファイルから、ライブラリをインポートすることもできる。ライブラリの名前変更や削除もできるが、どういうわけかこの機能は使えたり使えなかったりする。同様に、「Refresh」ボタンをクリックした場合、それができても、ライブラリの一覧が一度アルファベット順に並べられるだけで、その後は、ライブラリ名をどう変更してもライブラリの場所は変わらない。

 ライブラリに書籍を追加する方法は4つある。最も簡単なのは、ツールバーの「New Book」アイコンをクリックするかCtrl-Nを押して「Adding a Book」ダイアログウィンドウを開く方法だ。このダイアログで、タイトルや、著者、キーワードを使ってAmazon.comなどの書籍をオンライン検索できる。あるいは、書籍のバーコードをスキャンすることもできる。絶版か何かで書籍が見つからない場合は、手で入力すればよい。別のライブラリから、あるいは1行ごとにISBNを記述したTellicoまたはプレインテキストのファイルから、書籍をインポートする方法もある。

 著者、タイトル、ISBN、出版社、刊行日といった書誌情報に加え、ネット上で見つけることができればカバーも、Alexandriaに登録された各書籍に加えることができる。さらに、製本に関する情報(通常は、ハードカバーまたはペーパーバック)を入力することもできる。さらに書籍の情報として、タグを追加したり、5ポイント制でレーティングを付けたり、「所有している」「欲しい」「読んだ」の区別を付けたりできる。書籍ごとのダイアログウィンドウの別のタブには、その書籍をいつ誰に貸したかを記録することができる。3つ目のタブはさまざまな書き込みに使える。

 大きくなったカタログで書籍を探すには、Smart Librariesを使うか、書誌情報や記述内容をブラウザのように検索する機能を使えばよい。これなら、キーワードを入力しながら検索結果を絞り込むことができる。ライブラリのエクスポートでは、Tellico、Bibtexフォーマット、CSVファイル、ISBNを記述したテキストファイル、カバーの写真付きHTMLファイルが選択できる。

 Alexandriaは書誌情報のソースをネット上で探すことにより動作している。こうしたソースはある程度は、Edit → Preferences → Providersで編集できる。たとえば、ソースの一部を編集すれば、どの国のバージョンのAmazon.comで検索するかを選択できる。

 しかし、最も便利なカスタマイズ機能は、入手先を検索する順序の並べ替えだ。特に、英語を使っているユーザーはAmazonとBarnes and Noblesを入手先のリストの先頭にしておきたいだろうが、英語以外の書籍の入手先としては最後にしたいだろう。

 前述の不安定なライブラリ機能を除けば、Alexandriaは申し分がない。インターフェイスと機能はひと目でわかるようにできており、細かい点も見落としたくないなら詳しいオンラインヘルプが利用できる。そのうえネット検索は、使用しているインターネット接続で可能な限り高速であり、20秒以上かかることはほとんどない。

 Alexandriaが、リリース1.0までに高速で効率のよいプログラムになることは間違いないだろう。それまでは、ごく控えめにお勧めしておくことにしよう。

Bruce Byfieldは、Linux.comとIT Manager’s Journalに定期的に寄稿するコンピュータジャーナリスト。

Linux.com 原文