GNOMEでCDを作成するならBraseroが最高

  Brasero は、この4月にリリースされるUbuntu 8.04(コードネームHardy Heron)においてSerpentineに取って代わる予定のCD作成ユーティリティだ。BraseroはSerpentineが持つ機能に加えて、データCD/DVDプロジェクト、ファイルの完全性のチェック、マルチセッションをサポートしている。

 SerpentineはオーディオCD作成用の極めてシンプルなソリューションであるのに、なぜ入れ替える必要があるのだろうか? SerpentineはGNOMEデスクトップ環境と密に統合されていて、Rhythmboxのプレイリストや、Nautilusからのドラッグ&ドロップでのファイル管理もサポートしているうえ、ビデオファイルからオーディオ部分を取り出す機能も備えている。しかし残念ながら、データCDを作成することができない。とは言えNautilusにもCD書き込み機能があるので、その機能を利用すればデータCDを作成することはできるのだが、Nautilusが提供しているデータプロジェクト作成用のオプションは限られている。

 BraseroにはデータCD/DVDのサポートやイメージの作成/書き込み機能が備わっていて、Serpentineの機能的な弱点が強化されている。ただしインターフェースについて言えば、ダイアログは明確で分かりやすく、画面スペースの無駄も最低限に抑えられているものの、Serpentineほど直観的ではない――例えばファイルの追加とRythmboxのデータの追加とを簡単に切り替えるための方法がなく、ホットキーを使うかViewメニューをわざわざ使うしかない。Braseroはcdrtools、growisofs、LibburnなどCD/DVDへの書き込みを行うためのバックエンドを複数サポートしているので、ハードウェア的な互換性が最大限に確保され数多くの様々な書き込みデバイスをサポートしている。BraseroでのCDへの書き込み/コピーの速度はどのアプリケーションにも引けを取らないくらい高速で、シングル/マルチセッションプロジェクトのオンザフライでのCD/DVDへの書き込みもできる。また、組み込みのオーディオプレビュー機能を使えば、正しいアルバムに正しい楽曲をちゃんと選択しているかどうかを確認することができるので、同じ題名の曲と間違えることを心配しなくて済むのでとても便利だ。

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Brasero

 BraseroはGNOMEとの統合が優れているものの、K3bには存在する一部の機能が欠けている。欠けている機能のいくつかは比較的些細な機能で、例えば組み込みのリッピング機能がないという点は、Sound JuicerやDVD::Ripなどの別アプリケーションを利用することで補うことができるだろう。別アプリケーションを使用することには、(特に古いマシンを使用する場合などには重要なこととして)メモリ資源の割り当ての効率が良くなるという利点もある。しかし一方でBraseroに欠けている機能の中にはより重大なものもある。K3bではeMovix、VCD、Mixed-Mode CDなど幅広い種類のメディアがサポートされている。またサウンドの編集にあまり詳しくないユーザにとって便利かもしれない、音量の正規化やトラックの切り出し機能も提供されている。さらに多様なファイルシステムを選択することができるので、様々なオペレーティングシステムに渡る互換性を確保したい時には便利かもしれない。

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Braseroのディスク書き込みダイアログ

 しかしK3bは本来的にUbuntuとGNOMEとは相性が悪く、インストールの時点からすでに問題が起こる。K3bはC++で書かれているが、GUIはQtツールキットに依存しているので、別途パッケージをインストールしなければならない可能性がある。またGNOMEとの統合については改善の余地が非常にある――インストール直後のまっさらな状態のUbuntu Gutsy上で最近試してみたところ、NautilusがK3bのプロジェクトファイルの拡張子を自動的に認識することができなかった。またヘルプ機能のためにはaptitude経由で自動的にインストールされないパッケージが必要だった。インターフェースについてもかなり分かりにくく、数多く並んでいるボタンには、広く普及したプロプライエタリの某オペレーティングシステム用のCD/DVD作成ソフトウェアを彷彿とさせるものがある。また、余分な依存関係があるためにK3bを実行している時にはシステムの性能が低下する。さらに、インストール直後のまっさらの状態のUbuntu 7.10上で試したところ、K3bはSerpentineとBraseroのどちらよりも明らかに低速だった。またK3bに含まれている多数の機能は、CD/DVD作成のプロセスが複雑である印象をユーザに対して必要以上に与えているような気がする。

 とは言えBraseroにも欠点がないわけではない。インターネット上ではいくらかのヘルプ文書を利用することができるが、アプリケーション内に組み込まれている文書がない。特にあまり直観的でない機能については、文書があればBraseroの初心者ユーザにとっても熟練ユーザにとっても役立つと思う。またPreferences(設定)ダイアログがないので、特定の機能のためのオプションの場所を示すヘルプファイルがあれば良いかもしれない。さらに、ファイル選択ウィンドウではウィンドウの幅が適切な大きさに自動調整されないため、小さい画面を使用している場合にはファイル選択ウィンドウの半分しか見えなくなってしまううえ、スライダー用の矢印が思い通りに有効にならない。

 それでもBraseroは、より多くの機能を提供しているのでSerpentineよりは優れたソリューションだ。また、複雑な機能を使用する必要がないシンプルなデータ/オーディオCD/DVD作成プロジェクトにとってはK3bよりも優れている。直観的なインターフェースがあることとRythmboxとの統合が優れていることにより、最小限の時間でファイルを見つけることが可能で、プロジェクトを素早く簡単に完了することができる。組み込みの文書がなく、インターフェースにもいくつかの小さな難点があるものの、BraseroはGNOME上では最強のCD/DVD作成アプリケーションだ。基本的な機能だけを使うユーザであれば、Braseroさえあれば十分に事足りるだろう。

Linux.com 原文