Myah OSはまだ道半ば

  Myah OS は、カスタム・パッケージ・マネージャーを中心にゼロからビルドされたデスクトップ指向のディストリビューションだ。うまくいけば、使いやすく平易なデスクトップ・オペレーティング・システムになる可能性を秘めている。しかし、これから説明するように、すべてがいつもうまくいくとは限らない。

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Mayah OS

 ライブCDを起動すると、まず表示されたのはグラフィカルなログイン画面だ。パスワードは知らなかったので、適当なユーザー名/パスワードを入れてみた。幸い、myah/myahですぐにログインすることができた。インストールするためハードドライブ・インストーラーを探すと、メイン・ランチャーにある「System Tools」の中に発見。実行するとsudoのパスワードを求めてきたため、再びmyahを入力してみるとうまく動いた(あとで知ったのだが、実はこのパスワードは何でもよく、空白のままでもかまわない)。インストールはハードドライブのほかUSBにも可能。また、XfceOpenBoxKDE 3GNOME、KDE 4、純コンソールのいずれかを伴うネット・インストールもできる。私は「Full Hard Drive」を選んだ。そして驚いたのは、使えるブートローダーがLILOだけ(あるいはまったくなし)だったこと。GRUBには多くの利点があるのに残念なことだ。ブート時のLILO画面はピクセルを並べただけの粗雑な代物だ。ほかの画面はとてもよくできているのだが。

 インストールが終わり新しいシステムが起動してハタと困ったのは、ユーザー名/パスワードだ。インストール中に新しいユーザーを登録する手順がなかったのだ。ここでもmyah/myahを試してみると、ログインすることができた。rootのパスワードもmyah、sudoはパスワードなしで自動的にmyahアカウントへのアクセスが許可される。言うまでもないことだが、これは信じられぬくらい巨大なセキュリティー・リスクであり、ディストリビューションとしてはきわめて好ましくない。そこで、「System Tools」にあったMyah System Settingsマネージャーを使ってユーザーmyahを削除し、改めて自分用のユーザーを作った。そのとき、さらなる問題点に遭遇した。パスワードを入力していくと定石通り画面上は伏せ字(星印)で表示されていく。そこまではよかったのだが、その後がまずい。「add」をクリックすると画面上に「User username/password has been added to your system」と表示され、パスワードが丸見えになってしまったのだ。また、Myahユーザー・マネージャーには各アカウントの有効/無効を設定するオプションや、sudoの使用許可/禁止を設定するオプションがあるのだが、ここにも問題があった。ユーザー・マネージャーではすべてのアカウントが有効になっており、自分用のアカウントでXウィンドウからは何の問題もなくログインできるのに、コンソールからはログインできないのだ。

 問題はユーザー認証だけではない。アカウントのsudo使用を許可/禁止するウィンドウは、表示される文字が有効/無効を設定するウィンドウと同じであり、明らかにコピーしたものだ。しかも、機能すると思えたのに、新たに作ったアカウントでsudoを実行すると「PAM config lacks 'account' section for sudo」というエラーになってしまった。幸い、パスワードmyahでsuが機能したので助かったが。次に、キーボード・レイアウトを設定しようとXを終了させたところ、コンソール上にrootと通常ユーザー(myah)のパスワードが表示された。ここで表示されても役には立たない。表示するならXにログインするときだろうが、そのときは表示されなかった。次に、Dvorakレイアウトをロードしようとしたのだが、/lib/kbd/keymaps/include/linux-keys-bare.incと/lib/kbd/keymaps/include/linux-with-alt-and-altgr.incに構文エラーがあると表示されロードできなかった。やむなく両ファイルを開き、形式が違っていたコメントを自分で削除してから、ロードした。

 キーボード・レイアウトの変更後、Mayaアップデート・プロセスを実行してみた。Myahの小さなリポジトリー(デフォルトではインストールされないパッケージが20ほどあるだけ)にはアップデートが2つあるだけだったが、そのインストールが異様に遅い。どうやら、Mayaパッケージ・マネージャーはパッケージを削除しアップデートする前に、そのパッケージに伴うファイル一つひとつについてほかのパッケージから使われていないことを確認しているようだ。アップグレードのインストール時間がやたらに長く、そう思わざるを得ない。Firefoxだけで約30秒(ダウンロード時間を含まず)もかかった。dpkgやrpmなど、他のディストリビューションに付属する大概のパッケージ管理システムはもっと速い。一方、Mayaパッケージ・インストール・ウィザードを使っていくつかのアプリケーションをインストールしてみたが、こちらは問題ないようだ。ただし、使えるアプリケーションの数には多少の制限がある。

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Mayahのツール

 次に、音楽の再生を試みた。まず、プレーヤーを探すと、嬉しいことに私好みのXMMSがインストールされていた。スキンはMyahのテーマに合ってはいなかったが、デフォルトのスキンよりはましだ。だが、肝心の音楽は再生できなかった。というより、OSのすべての音が鳴らないのだ。alsamixerを起動して、すべての音量を最大にしミュートになっていないことも確認したが、鳴らない。そこでalsaconfを実行しようとしたのだが、存在さえしなかった。しかも、Myahパッケージ・マネージャーではalsautilsにアクセスできない。幸い、開発ツールはインストールできたのでソースからalsautilsをビルドし、ようやくalsaconfを実行することができた。しかし、カードを正しく検出し構成もできたはずなのに、どのアプリケーションも沈黙したままだ。OSSも試してみたが、やはり駄目。Myahの設定マネージャーには、これ以上サウンドを構成する方法がなく、お手上げだ。

 Myahには、AsunderAudaciousAudacityGravemanstreamtunerなど、オーディオを利用したアプリケーションがたくさんある。さらにXineMPlayerKinoなども用意されている。サウンドが機能すれば楽しむことができただろうに。この手のアプリケーションでよいと思われたのは、簡単なウィザードを使って映画をDVD用にエンコードできるMyah DVD Creatorだ。おそらく、Myah用に作られたもので、Myah設定マネージャーやパッケージ・マネージャーと同じ汎用インタフェースを使っているのだろう。強力なアプリケーションというわけではないが、自分では対応できない利用者向けの手軽な小型スクリプトであることは確かだ。

 Myahには、グラフィカル・メディア用のプログラムも数多く含まれている。3DモデリングにはBlender、ビットマップの編集にはCinePaintthe GIMP、mtPaint、Tux Paint、図面の作成にはDia、拡大縮小が可能なベクター・グラフィックスにはInkscape、もっと簡易なグラフィックスにはGPicViewとgtkamなど。オフィス・ツールも用意されているがグラフィックスほど豊富ではない。標準インストールではAbiwordGnumericだけだ。しかし、ネットワーク好きの人向けには、いろいろ揃っている。インスタント・メッセージにはPidgin、BitTorrentにはAzureusTransmission、IRCにはChatzillaXChat。そして、ファイル転送にはfireFTP、基本的なウェブ閲覧にはFirefoxが用意されている。

 概して言えば、Myahは、自分で維持管理したり構成したりしたくはない人向けのOSという印象だ。Myah設定マネージャーは現実のトラブルを解消したり大きく変更したりするにはあまりにも非力だし、Myahパッケージ・マネージャーのアップグレード方法は最善とは言い難い。それ以上に悪いのは、インストール時に新しいユーザー・アカウントの設定やrootパスワードの変更を求めないことだ。これは許容し難い。ライブCDの場合もデフォルト・インストールの場合も、MyahはローカルSSHサーバーを自動的に起動するため、誰でもコンピューターにrootでアクセスできるのだから、事は重大だ。

 Myahの製作者たちはパッケージ・マネージャーを作り、ディストリビューションをゼロから作り上げてきた。このディストリビューションは、ある種の利用者に対して大きな可能性を持っている。いくつかの小さなバグを改修しインストーラーでパスワードを変えるよう少々変更すれば、Linux初心者でも使えるものになるだろう。しかし、現状では、Myah OSは誰にでも使えるレベルにはない。使えるのはベーターテスターだけだろう。

Preston St. Pierre フレーザーバレー大学(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)でコンピューター情報システムを専攻する学生。

Linux.com 原文