SCOの命運は完全に尽きたのか?

 傍目からは不可解なことなのだが、SCOは再度の敗訴にもめげることなく、連敗記録の更なる継続を望んでいるようである。

 この7月16日、Dale Kimball裁判官はSCO対Novellの訴訟においてNovell側に有利な裁定を下し、SCOという特異な立場にあるUnix企業はNovellに対してUnix関連の契約にまつわる250万ドル相当の支払い義務があるとしたが、それだけならともかく、あろうことかUnixの権利を有しているのはSCOでなくNovellであるとも判断したのだ。Unixに関する知的所有権が認められなくなった以上、SCOが起こしていたIBM、Novell、Linuxに対する訴訟はその基本的な根拠が失われてしまったと見なせそうなものだが、専門家の目からすると話はそれほど単純な訳ではないようなのだ。

 Open Source Initiativeの共同創立者の1人であるEric S. Raymond氏は、「残念ながら、これで一件落着とはいかないでしょう。かねてよりSCO側はこの訴えを陪審裁判に持ち込むことも可能だと発言しています。ということはつまり、Kimball裁判官の裁定を覆すよう訴えるのも選択肢の1つだと考えているのでしょう」

 現状でSCOが正式な上告手続きを行った訳ではないが、SCOのプレスリリースでは「現在弊社はDale Kimball裁判官による本日の判決内容を顧問弁護士と共に精査しているところであり、今後数日ないし数週間以内に取るべきステップを検討しているところです。本日の判決は、弊社の主張を可及的速やかに陪審団に聞き届けてもらうよう上告するべきかの判断において、非常に重要な意味を有しています」と述べられている。

 今回の判決自体は、誰もが事前に予想していた内容であった。例えばThe 451 Groupにてオープンソース関係のアナリストを務めるJay Lyman氏は、「SCOに関する限り、今回の判決はかねてから予想されていたもので、LinuxおよびUnixに対して知的財産権(IP:intellectual property)の侵害を訴えるというSCOの戦略が完全に破綻していることを再確認しただけです」と語っている。

 一方でボストンを本拠とする知的財産権関連の法律事務所であるBromberg & Sunsteinにて商慣習担当グループを統括するThomas Carey氏は、「裁判長による今回の判決は、その前提自体に無理がありますね。NovellはUNIX事業を売却したがUNIXコードに付随する著作権は手放していないとする論拠は、現実離れの度が過ぎており、上告されたらまずは受け入れられないでしょう(仮にSCOが上告できるとしての話ですが)。しかしながら、先の判決はこうした主張がその土台となっているのです」としている。

 そうした見解の是非はともかく、今回の裁判では、SCOはUnixの知的所有権までは購入していないとの判決が下されてしまったのだ。SCOがNovellから購入した権利の実体がどこまで及ぶかという問題は、先の裁判における公聴会の場でも再燃していた。そもそもSCOが提携した契約の内容自体に問題があったのは明らかだが、同時にそうした内容での契約が交わされていたということも1つの事実なのである。

 SCOが上告を試みるであろうことは、ほぼ確実視されている。もっとも2007年9月のSCOによる破産申し立ての一件もあるため、必要な資金をどこから調達するかはまた別問題である。一時は今後の訴訟継続を目的としたStephen Norris & Co. Capital Partners(SNCP)によるSCOの買収が実現されるかとも思われたが、結局この提案は実を結ばなかったようだ。それにもかかわらず、LinuxおよびLinux関連企業に対する法廷闘争を何らかの手を用いてSCOが継続して行くであろう事は、万人の一致する見解なのだ。

 ただしこの訴訟において勝利を得ることは、また1つ別の問題だともされている。例えば先のRaymond氏は、「SCOが最終的な逆転勝利を得るのは奇跡の可能性に等しいでしょうが、それ以前の問題として何年か前の段階でより現実的な検討がなされていたら、この件にまつわる一連の訴訟はとうの昔に片が付いていたでしょう」としている。

Steven J. Vaughan-Nicholsは、PC用オペレーティングシステムとしてCP/M-80が選択され、2BSD Unixを使うことがクールとされた時代から、テクノロジおよびそのビジネス利用についての執筆活動を続けている。

Linux.com 原文