Windows税の還付を受ける方法

コンピュータを購入すると、たとえ注文した覚えもなければ使う予定もなかったとしてもMicrosoft Windowsのための料金を支払っていることが多い。この記事では、未使用のWindowsのライセンスを返却して料金の払い戻しを受け、Windows税を非課税にするための方法を説明する。

私は最近Dell社から新しいラップトップコンピュータを購入した。私はGNU/Linuxユーザでありフリーソフトウェアを信奉しているので、自分がそのラップトップでMicrosoft Windowsを使用することはないということが最初から分かっていた。しかし残念ながら私が購入したラップトップについては、OSをUbuntuにするというオプションやOSをなしにするというオプションがDell社から提供されていなかった。そこで私は、いったん購入した後にDell社からWindowsについての払い戻しを受けようとしてみた。その結果、Dell社のカスタマーサービスとの交渉の末、52.50ドルの払い戻しを受けることに成功した。今回の払い戻しを受けるまでの過程を通して、私は比較的うまく行くテクニックの存在に気が付いた。このテクニックを知っておくと、あなたも短い時間で簡単に払い戻しを受けることができるかもしれない。

準備は万端に。過度には期待せずに。

払い戻しの要求へと突っ走る前に、まずは準備を万端にしておこう。Windowsの払い戻しのための作業には何時間もかかるかもしれないが、結果として得られるのは少額に過ぎない。金額としては店頭に並んでいるWindowsの通常の小売価格とは比べ物にならないほど少額だ。そのため払い戻しに成功したところで、 それはポケットマネーの足しというよりはむしろ自分の信条のための勝利という意味の方が大きい。とは言え勝利することは実際に可能であるし、成功した暁にはあなたは自分の信条を曲げずに筋を通したんだと胸を張っていいだろう。

なおWindowsの料金の払い戻しを受けることができるのは、コンピュータが新品である場合のみだ。一度でもWindowsをブートし、Microsoft社のEULA(使用許諾契約書)の最後にある「Accept(同意する)」ボタンを押すと、払い戻しを受ける資格はなくなってしまう。理想を言えば、ベンダに実際の注文を行なう前の時点ですでにWindowsの払い戻し計画を練っておいた方が良いだろう。そして新品のマシンを注文する場合にはまず、OSなしのオプションが提供されていないかどうかをベンダに電話で確認しよう。そしてそのようなOSなしのオプションがある場合には、そのオプションを利用すると良い。そうではなくプレインストールOSなしのオプションが用意されてなくてやむを得ずWindowsを購入しなければならない場合には、可能な限りローエンドのWindowsを選ぶようにしよう。 私の場合は「Microsoft Windows XP Home Edition」付きのコンピュータを購入することにした。

コンピュータが到着したら、コンピュータを箱から取り出す各過程の記録を取っておこう。私の場合、イギリスでDell社からのWindowsの払い戻しに成功したDave Mitchell氏からヒントを得て、箱を開けている最中の自分の写真など、 各過程の自分自身の写真を逐一撮っておいた。またMicrosoft社のEULAの全ページの写真も撮っておいた。特にベンダへのライセンス返却に関連するセクションはズームして撮っておいた。また「Do Not Accept(同意しない)」ボタンもズームして撮影し、ライセンスを拒否している自分の姿も撮っておいた。 これによりせっかく届いたコンピュータを使い始めるのがやや遅くなってしまうが、自分がライセンスを読みそれを拒否したという証拠を残すことができる。

さて、ベンダへ電話を掛ける前には必要なものをすべて手元に用意しておこう。 注文番号や購入日、クレジットカード番号に至るまで、注文に関するすべての情報を手元に用意しておくべきだ。さらにコンピュータのシリアル番号やDell社の場合にはエクスプレスサービスコード(Express Service Code)も用意しておくと良いだろう。また電話の終盤ではWindowsのCOA(Certificate of Authenticity)キーが必要になる場合もある。 COAキーは通常ラップトップの底に貼り付けられているホログラムのステッカーに書いてあるので、単にラップトップ本体を手元に置いておくと良いかもしれない。

またEULAの本文をすぐに見ることができるよう準備しておくと良いだろう。全文が必要になるということはおそらくないが、Windowsをベンダへ返却することについての説明文の具体的な文言そのものが問題になる可能性があるからだ。

最後に紙と鉛筆を用意しておこう。またワイヤレスの電話を使うなら、ちゃんと充電されているかどうかを確認しておこう。あと、飲み物も手元に用意しておこう(長電話になるかもしれない)。

電話をかける準備

ここまでの準備が整うと、おそらくあなたはもう一刻も早く受話器をかまえて(演壇に見立てた)木箱の上に立ち、払い戻しを受けるための電話をしたくてしたくてたまらなくなってくることだろう。しかし焦りは禁物だ。 まず、あなたがこれからしようとしていることは法的な権利を行使するということであって、決して誰かにフリーソフトウェアについての考え方を改めさせようとしているわけではないということを肝に銘じておこう。払い戻しのための過程でそのようなことに余分に時間を使っても目標からは離れるばかりだ。

次に「丁寧な態度を忘れないこと」。カスタマーサービスの人は、それこそ一日に何十件もの問い合わせを取り扱うことに慣れているのだろうが、あなたの件は日頃取り扱っている類いの問題とは性格の異なるものなのだ。あなたの電話の向こう側にいる人は、会社のオフィスにいてあなたの代理人として動き回ってくれる人だ。だからその人にはできるだけ機嫌を良くしていてもらった方が良い。 その人に対して怒ったり、どなったり、無礼になってはいけない。緊迫した雰囲気になってきた時には、思いやりの心を持って場の雰囲気を和ませるようにしよう。場合によってはジョークを言ったりするのも良いかもしれない。

そして「待たされるのを覚悟しておくこと」。Dell社は通常は(特にビジネス顧客を)待たせたりすることのないようにうまくやっている。それでも今回の件では私は何度も待たされることになった。待たされている場合、こちらにできることは何もない。そのためただただ礼儀正しく待つこと以外に方法はない。あなたが要求していることはかなり異例のことであるため、電話の相手はおそらく監督者や責任者に問い合わせる必要があるのだろう。そうさせてあげるべきだ。

「相手が口実を付けて言い逃れをしようとし出しても動じないこと」。相手は払い戻しをしなくて済む方法をあれこれと言い出してくるはずだ。なにしろ彼らは払い戻しのことをこれまでに聞いたことがないのだから、払い戻しをするなど不可能なことだと思うのも無理もないのだ。私が最初に話したカスタマーサービスの人は、そもそも私はWindowsのための料金を払っていないのだからライセンスを払い戻しすることはできないと言っていた。このようなことを言われても、 落胆したり、それを最後通告だと受け取る必要はない。この種の言い逃れに対抗する具体的な方法は、のちほど述べる。

「言い争いをせずに、上司に代わってもらうこと」。あなたを担当したカスタマーサービスの人に話しても埒が明かなかったり、あなた自身が同じことを何度も繰り返し言っているなということに気が付いたら、そろそろ上司に代わってもらった方が良いという兆候だ。このような時も「無礼になってはいけない」という前述の方針を忘れないように。別に相手と対立することなく交代をお願いするということは可能なのだ。「あなたがとても頑張って下さっていることはすごくよく分かります。ただ、私の件についてはもうこれ以上あなたに何かしていただけることはないように思います。もしできましたら私の担当を誰か他の方に代わっていただくことはできませんでしょうか」と、相手に思いやりを持って言えば良いだろう。

「我慢強くすること」。おそらくあなたは、複数の人間と話し、同じことを何度も何度も繰り返し説明し、あなたが言うような要求をする資格があなたにはないと言い逃れるための口実を山ほど聞かされることになるだろう。しかし事実としてあなたの言い分は正しいのであるから、対応され続けている限り、払い戻しのためのステップは前に進んでいると考えて良い。ただまったく前に進んでいないと感じたときには、先ほど述べたように上司に交代をしてもらおう。

「妥協はしないこと」。私はカスタマーサービスとの話し合いの中で幾度となく クーポンのオファーを受けた。中には私が要求した以上の額のクーポンがオファーされたことさえあった。けれどもクーポンはお金ではない。このような場合は、あくまでも丁寧な態度で、自分が求めているのは現金での払い戻し(あるいはクレジットカードへの払い戻し)だということを説明しよう。

「前例を持ち出すこと」。すでにWindowsの払い戻しが行なわれた前例として、 あなたがイギリスにいるならDave Mitchell氏、アメリカにいるなら私を引き合いに出すと良い。Mitchell氏や私には払い戻しをしてもらえて、あなたにはしてもらえない理由はどこにもないはずだ。

さて、電話でやり取りをしていると、カスタマーサービスの人が繰り返し何度も何度もあなたには払い戻しを要求する資格がないということを主張する様々な口実を持ち出してくることに気付くと思う。以下にそのような主張(私が実際に言われたものも含む)とそれに対する模範的な回答を示す。

「コンピュータはOSがないと動かないのでOSを返却することはできないのです」。

このような口実に反論するのはいとも簡単だ。あなたはGNU/Linux(あるいはFreeBSDなど、あなたがWindowsの代わりに使おうとしているOSどれでも)を使用するのだと説明すれば良い。

「Windowsの分の料金は元々お支払していただいておりません」。

Windowsの料金はコンピュータ本体の料金と一緒に払ってしまっているので、Windowsの分の料金は元々まったく受け取っていないと言い出す可能性がある。 このような口実に反論するのも簡単だ。Windowsは無料ではない。これは誰でも知っている事実だ。Windowsが実際に有料である(Windowsを無料で手に入れることはできない)という点をいったん白黒はっきりさせてしまえば、後はWindowsのためにあなたがいくら払ったのかという論点が残されるのみだ。 さて、この論点に関してであるが、Microsoft社はハードウェアベンダと契約してハードウェアベンダにライセンスの販売を行なっているので、個々の小売り業者がハードウェアベンダに支払っている代金の内Windowsの代金として支払っている金額がいくらなのかを知る実際的な方法は存在しない。したがって私はNewegg社で見つけた「Windows XP Home SP2」のOEM版の価格である89ドルを要求した。最終的に私に払い戻しされたのは52.50ドルだった。これが実際のWindowsの値段だったのかどうかはわからないが、52.50ドルというのはタダ同然というわけでもないし、Dell社が世界最大のコンピュータメーカとしてMicrosoft社からこの値段でWindowsのライセンスを買っているとしてもそれほど不思議はないと私は思っている。

「バンドルとして購入されたので」。

バンドルとして購入したのだと言われる可能性もある。つまりWindowsはコンピュータとセットのパッケージになっているので、そのどちらかだけを返却することはできないということだ。このような口実に対してはライセンスそのものを根拠として反論することができる。ライセンスには、あなたはライセンスに同意しないことを選択してライセンスをベンダへ返却しても良いと書かれている。 バンドルということについてカスタマーサービスの人に何と言われようとも、 ライセンスの法的な文言は明確だ。この「バンドル」と言う言葉を私は何回も聞かされたが、その度に私はライセンスの条項を説明した(一言一句そのまま引用する必要がある場合のために、常にライセンスの文言を手元に用意しておいた)。このように、カスタマーサービスの人が「バンドル」と言うことによって 話を短く切り上げようとした場合には、あくまで丁寧な態度を保ったまま、 ライセンスは非常に明確であり、自分は単に法的な文言に従ってOSを返却する権利を行使しているだけだということを説明しよう。

「クーポンでお受け取りになるというのはいかかですか」。

私はクーポンのオファーを何度も受けた。おそらく顧客を満足させる方法として、クーポンの発行は簡単にできるようになっているのではないかと思う。この場合、クーポンについては断りつつも、一歩勝利に近付いたということを確信して良いだろう。ここまで来れば、しなければならないことはあとはもう現金での払い戻しを要求することを残すのみだ。

「CDを返却してもらう必要があります」。

Windowsの払い戻しをしてもらう条件として、私はカスタマーサービスの人にCOAキーを伝えることと、WindowsのCD本体を返却することを要求された。 Dell社は親切にもCDの送料を支払ってくれたので、私は封筒代を出すだけで済んだ。あなたのベンダもこの送料を気前良く肩代わりしてくれるかどうかはわからないが、この時点ですでにあなたの勝ちが決まったということに変わりはないだろう。

あなたの勝利–あるいはそうでない場合。

あなたが払い戻しを求めるのがDell社ではない場合、私と同じように成功するとは限らず、別のやり方が必要になるかもしれない。例えば、少額裁判所を利用する というのも一つの手かもしれない。この場合は、まず裁判所に申請の書類を提出し、少額の料金を支払い、記録した証拠資料をすべて持って裁判所へ行くことになる。少額裁判所の裁判では、裁判官の前で弁護人なしであなた自身が素早く手短かに言い分を述べる必要があることに注意しよう。あるいはまた、BBB(商事改善協会)に協力を求めるというのも一つの手かもしれない。多くの大手企業はBBBからの指摘をないがしろにしたりしないので、BBBから連絡が行った後であればあなたに対しより積極的に対応してくれるかもしれない。どちらの場合も問題を解決するためにあなたは時間とお金をかけることになるだろう。しかしそれはベンダにとっても同じことなのでベンダもできるだけ早期に友好的な解決法を見い出そうとする可能性が高い。

まとめると

  • 新品のコンピュータの場合にだけ払い戻しを受ける資格がある
  • すべてを記録しておく
  • 準備を万端に
  • 丁寧な態度で
  • 我慢強く
  • 愛想良く

これらの指針に従えば、「Windows税非課税で動くコンピュータ」を手にすることができる可能性は十分にある。

ここで私はDell社に感謝しなくてはならないと思う。はじめは苦労したが、 最終的にはDell社は期待に応えてくれた。ベンダを少額裁判所へ訴えなければならなかった他の人たちの話をネット上で知り、私は自分が思慮分別のあるポリシーと社員を持つ企業からコンピュータを買ったということを嬉しく思った。 特に私の担当としていろいろと動き回り最終的に払い戻しをオファーしてくださったフロアマネージャのSeemaさんに感謝したい。

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