Mozilla Japan:Thunderbird 2.0の新機能をプレビュー

 Mozilla Foundationの日本支部であるMozilla Japanは3月9日、今月末に正式版のリリースが予定されている「Thunderbird 2.0」について、報道関係者向けの説明会を開催した。Thunderbird 2.0の概要は、すでに過去の記事(過去記事1過去記事2)で解説されているが、正式リリースが目前に迫った今、改めてThunderbird 2.0の新機能を整理しておきたい。

●メッセージ・タグ
 メッセージに属性を付ける機能で、従来のメッセージ・ラベルを置き換えるもの。Thunderbird 1.5には5つのラベル(「重要」「仕事」「プライベート」「To Do」「後で」)が用意されていたが、ラベルを追加したり、1つのメッセージに複数のラベルを設定したりすることはできなかった。これに対し、タグは数に制限がなく、ユーザーが自由に定義することができる。1つメッセージに複数のタグを設定することも可能だ。メッセージに付けたタグは検索や表示オプションの条件として利用することができる。

●フォルダビュー
 ウィンドウ左側のペインに特定のフォルダのみを表示することで、目的のフォルダに素早くアクセスできるようにする機能。「未読フォルダ」「最近使ったフォルダ」「お気に入りフォルダ」の3つのビューが用意されている。例えば、「未読フォルダ」ビューを選択すると、未読メッセージを含むフォルダのみが表示される。

●メッセージの表示履歴
 過去に参照したメッセージを再表示するための機能。Thunderbird 2.0のツール・バーには「戻る」と「進む」のボタンが追加されており、これらのボタンを使って、メッセージの履歴を移動することができる。

●Webメールとの統合
 GoogleのGmailやAppleの.MacといったWebメールをThunderbirdから利用するための機能。これらのWebメール・サービスのユーザーは、アカウントウィザードでユーザー名とメール・アドレス(@の左側の部分のみ)を入力するだけで、ThunderbirdをWebメール・クライアントとして利用することができる。

●オフライン状態への自動切り替え
 ネットワークの接続状況に応じて、オンライン/オフラインの状態が自動的に切り替わるようになった(Linux版/Windows版のみ。Mac OS X版は非対応)。

●アドオンマネージャの搭載
 Firefox 2.0で搭載されてアドオンマネージャを移植したもの。拡張機能やテーマの追加、更新、削除、設定、有効/無効の切り替えを統一的に操作することができる。

●メッセージ内検索バー
 これもFirefox 2.0の機能を移植したもの。Thunderbird 2.0では、メッセージ内検索を実行する際に、従来の検索ダイアログの代わりにウィンドウ下部に検索バーが表示されるようになった。キーワードの入力途中でも検索が行われる“インクリメンタル・サーチ(逐次検索)”に対応。

 このほかThunderbird 2.0では、従来から存在した多くの機能にも改良の手が加えられている。例えば、新着メッセージの通知は、従来はポップアップウィンドウに新着件数のみが表示されたが、新版では件名、送信者名、本文の一部も表示されるようになった。また、検索フォルダ(検索条件をもとに仮想的なフォルダを作成する機能)ではフォルダの内容をキャッシュすることで、パフォーマンスの改善が図られている。

 なお、当初の計画に含まれていたタブ機能の搭載は、今回のリリースでは見送られた。見送られた理由は、メール・クライアントにおいてタブ機能をどのように活用すべきなのか、十分な議論ができなかったためとのことだ。

 タブ機能の見送りは残念だが、上に挙げたようにThunderbird 2.0には魅力的な新機能が満載されている。新機能をいち早く使ってみたいという方は、Mozilla Foundationから日本語を含む28言語に対応したThunderbird 2.0β2が提供されているので、そちらを試してみるとよいだろう。

Mozilla Japan
http://www.mozilla-japan.org/