Xandros社とMicrosoft社の契約はNovell社の場合とまったく同じではなかった

 Microsoft社とXandros社が今朝、パートナー契約を発表した。この契約は、昨年の悪名高いMicrosoft-Novell契約と似ているようにも思われるが、しかしまったく同一というわけでもないようだ。

 Xandros社CEOのAndy Typaldos氏とMicrosoft社のビジネス開発/知的所有権/ライセンス担当ディレクターのDavid Kaefer氏の両氏に取材したところ、マーケティングや流通に関する具体的な契約内容や特許保護契約の詳細については明らかにすることを渋った。しかしIDCの調査が示すようにXandrosのLinux市場でのシェアが非常に小さいことなどを考えると、今回の契約がMicrosoft-Novell契約とはやや異なったものであることは明らかだ。

 Typaldos氏はパリから電話で取材に応じ、Xandros社はこれまでも決して純粋なオープンソース・プロバイダであったわけではなく、提供する製品にはオープンなコンポーネントとクローズドなコンポーネントの両方を混在させるという戦略を採ってきたと述べた。Typaldos氏は、今回の契約の狙いはマルチプラットフォームの相互運用性を高めることだという。Typaldos氏によるとXandrosは、デスクトップ向けのディストリビューションから、デスクトップのみならずサーバとしての用途やクロスプラットフォーム管理にも向いたディストリビューションへと変化しているため、Microsoft社と提携することでオープンソース環境にもWindows環境にも好ましいソリューションを顧客に提供することができるようになるとのことだ。

 一方Microsoft社のKaefer氏は、Microsoft社の顧客が挙げる問題のトップ4に、マルチプラットフォーム環境におけるシステム管理と、Microsoft Office/OpenOffice.Org間の相互運用性という2点がランクインしていることを指摘し、今回の契約はその両方の問題を解決するために役立つだろうとした。

 Kaefer氏は、今回の契約におけるMicrosoft社の最大の目的はクロスプラットフォーム管理のためのソリューションを提供する能力の強化であり、その目的は、Microsoft認定パートナーという形でXandros社と提携することで達成可能だと述べた。

 Typaldos氏は、Xandros社は今回の契約を行なう際、GPLv3のことについても視野に入れていたという。Typaldos氏は、GPLv3が実際にリリースされる前に何らかの対応をするということは困難だとしながらも「Xandros社はGPLに関して現在行なわれていることをきちんと認識しており、最終的に新しいGPLがどのようなものになるかを知ることができるのを待っている。われわれは、どのようなライセンスになってもGPLを順守するつもりだ」と述べた。

 コミュニティの反応に対する懸念についてTypaldos氏は、「われわれがオープンソースに対してできる最大の貢献は、オープンソース製品の採用を増やすということだ。われわれが行なっているのは顧客のオープンソース採用をより迅速にすることだということをオープンソースコミュニティが理解してくれることを望んでいる」と述べた。

 Microsoft社が同社の顧客にXandrosのクーポンを配布するのかどうかを尋ねたところ、どちらの側からも詳しい情報を得ることはできなかった。ただしTypaldos氏は「現時点ではまだ契約内容について話すことはできないが、販売とマーケティングにおける協力の内容は、Novell社のものと同じではない」とした。

 また特許保護契約がWineやOpenOffice.Orgを含むのかどうかという問題についても、どちらの側も明らかにしなかった。なおWineとOpenOffice.Orgは、Novell社の特許保護契約では除外されている。

 Kaefer氏は「Microsoft社は、Novell社との契約で行なったように今回の契約についても内容を公開する予定だ」と述べた。その内容についてKaefer氏は、Xandrosのサーバ/デスクトップ製品を幅広く対象としたものになるということと、「必要な場合には知的所有権や特許を共有することになる」と述べるに留まった。ただし「Novell社の場合と同様に、ある程度の限度は存在することになる」とも述べた。

 Novell社の場合も今回のXandros社の場合も、特許保護契約がGPLv3のリリース後にも有効なのかどうかという問題はまだ未解決だ。Kaefer氏は、Microsoft社は「存在するあらゆるライセンスはすべて尊重しなければならない」ということを認識しているとし、また「GPLv3の後にも契約を継続するためにMicrosoft社は柔軟にならなければならないだろう」とも述べた。

 Microsoft社は特許に関し、Steve Ballmer CEOによる威嚇攻撃と営業部門による特許保護の提供という、あめとむちのやり方を続けるつもりなのかと尋ねたところ、Kaefer氏は「関係者のすべてにとって歓迎すべき契約となるよう、これからも不断の努力を続ける」と述べた。

 なお今回の契約についてのさらなる分析として、Seattle Post-Intelligencer紙のTodd Bishop記者、アナリストのDana Gardner氏、ブロガーのStephen Walli氏による各記事がある。

NewsForge.com 原文