Sambaの将来リリースにおけるGPLv3の採用が決定

 オープンソース系ファイル/印刷サービスの老舗スイートを提供するSambaチームが7月9日に行ったアナウンスでは、今後同プロジェクトから行われる新規リリースはGNU General Public Licenseのバージョン3(GPLv3)下で提供されることが公式に宣言された。

 これに合わせて同ソフトウェアのバージョン番号体系にも、若干の変更が加えられるようだ。「どのバージョンのSambaが新規のGPLv3ライセンス下でリリースされているのかを区別しやすくするため、次回のバージョンでリリース番号を繰り上げます」と同アナウンスでは説明されている。

 「これまで予定されていた次回のバージョンリリースは3.0.26でしたが、これを3.2.0とした上でGPLv3バージョンによるリリースを行います」。つまりSamba 3.2以降のすべてのバージョンはGPLv3ないしGNU Lesser General Public License(LGPLv3)下でのリリースとなり、同3.0.xおよびそれ以前のバージョンはGPLv2下でのリリースという区分になる。

 多くのUnix系オペレーティングシステムで利用可能なことで知られるSambaは、Server Message Block/Common Internet File System(SMB/CIFS)のクライアントに対するファイル/印刷サービスの提供をするためのソフトウェアであり、その対象には各種のWindowsオペレーティングシステムに同梱されているものも含まれているため、実際のWindowsサーバドメインに対する親和性の高さをその特長としている。同ソフトの初回バージョンが公開されたのは1992年のことである。

 GPLv3が正式にリリースされたのは先月末のことであり、それに先立つFree Software Foundation(FSF)による検討プロセスは、各種方面からの意見をオープンに取り込んだ関係上さまざまな論争を呼び起こし、結果として数年がかりの作業となったという経緯がある。FSFの説明するGPLv3の基本的な位置づけは、ソフトウェア業界の変化に合わせてGPLv2を進化させたバージョンであるとのことだ。

 実際GPLv2がリリースされたのは1991年6月のことであり、商業活動におけるオープンソースの占める役割が著しく増大したのはその後の出来事である。ただしLinus Torvalds氏はかねてより従来のGPLv2の方がGPLv3よりも優れているという考えを公言しており、そのためLinuxカーネルプロジェクトが新たなGPLv3の採用に動く可能性は見込み薄であると見なされている。とは言うものの、GPLv3の最終ドラフトまでの変遷を受けてTorvalds氏の態度が軟化してきたのも事実であり、同氏が現在注目しているのはSunがGPLv3下でのOpenSolarisリリースに踏み切るか否かであるとのことだ。

 これと対照的なのが、積極的なGPLv3の受け入れ姿勢を示しているSambaチームである。たとえばJeremy Allison氏は同チームの意見を代弁する形で、新規ライセンスは「従来のGPLに対する優れた改善を施したもの」であり「バージョン2段階のGPLフリーソフトウェアに差し迫ってきた新たな脅威に対抗する上で不可欠なアップデートが施されている」との見解をFSFに対して述べている。なお今回のSambaでのGPLv3採用に関するアナウンスに添付されたFAQには、開発者に対する注意事項として、今後開発する新規コードおよび過去にGPLv2下でリリースされたコードの取り扱いについての詳細な説明が記載されている。

Shirl Kennedyは1992年よりテクニカルライターとして活動しており、現在はDocuTickerおよびResourceShelfウェブログのシニアエディタを務め、Information Todayの「Internet Waves」コラムにも寄稿している。

Linux.com 原文