「GPLに違反した」――オープンソース団体が家電メーカーを提訴

 オープンソース・ソフトウェアを法律面から支援している米国の団体SFLC(Software Freedom Law Center)は9月19日、オープンソース・ライセンスに違反しているとして米国のデジタル家電メーカーを提訴した。オープンソース・ライセンス違反をめぐる訴訟は米国では初めてと見られる。

 SFLCは19日、UNIXユーティリティ・ソフト集「BusyBox」の開発者であるエリック・アンダースン氏とロブ・ランドリー氏の代理として、家電メーカーのモンスーン・マルチメディアをニューヨーク州南区連邦地方裁判所に提訴した。SFLCの訴状によると、モンスーンはBusyBoxをGPLv2ライセンスの下で再配布しているにもかかわらず、ソースコードを公開していないという。

 GPLv2の場合、ライセンスされたソフトを再配布するディストリビューターはソースコードを公開する義務があり、これを怠ると著作権侵害と見なされる。

 「SFLCが通知したにもかかわらず、モンスーンはソースコードを公開しようとしない」と、SFLCの法務担当ディレクター、ダン・ラビシャー氏は述べている。ライセンシーがソースコードの公開を怠るのはありがちだが、通常は裁判沙汰になる前に問題は解決するとラビシャー氏は語った。

 同氏はさらに、裁判に訴えたのはモンスーンが状況を是正しようとしなかったためだと述べ、最後の手段であることを強調した。

 BusyBoxは、組み込みシステムに用いられるUNIXユーティリティ・ソフトウェア集で、モンスーンは同ソフトウェアを、リモートTV視聴用デバイスなどのデジタル・ビデオ製品で使用しているとされる。

 同訴訟は、オープンソース・ライセンスに基づいたソフトウェアの扱いをめぐる初の裁判だと、ラビシャー氏は説明する。同氏によると、BusyBox側が最終的に勝訴した場合は、著作権法に基づき、開発者らは損害賠償や侵害の継続禁止、裁判費用の負担などをモンスーンに要求することができるという。

 この件についてモンスーンにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 米国外に目を向けると、gpl-violations.orgプロジェクトがCisco Systemsを相手取ってドイツで起こしたGPLライセンス訴訟の例がある。同プロジェクトのメンバーの1人が今年1月、Ciscoが自社製電話機(旧称iPhone)でライセンスを受けたソフトウェアのソースコードを公開していない事実を突き止めた。シスコはその後、問題を是正している。

(ナンシー・ゴーリング/IDG News Service シアトル支局)

SFLC(Software Freedom Law Center)
http://www.softwarefreedom.org/

提供:Computerworld.jp