Firefox機能拡張群の一括バックアップ/再インストールを可能にするCLEO

 多数の機能拡張でカスタマイズしたFirefox環境をセカンドマシンにて再現するといった場合、個々の機能拡張を1つずつ再インストールするのが一般的な方法だが、そうした手間を厭うならこの種の処理に特化した機能拡張を利用するという選択肢も存在する。それが CLEO (Compact Library Extension Organizer)であり、これを利用するとインストール済みの機能拡張およびテーマ群を1つの.xpiファイルにパッケージ化して、一括で再インストールできるようになるのだ。

 CLEOのインストールは、同プロジェクトのホームページあるいはMozillaのオフィシャルWebサイトから行うことができる。ただしCLEOの処理では、機能拡張群の保存にFEBE(Firefox Environment Extension Backup)の使用を前提としているので、こちらもインストールしなければならない。

 これらのインストールが完了したら、Firefoxを再起動してTools → FEBE → Cleo → Cleo Optionsを選択する。なおこの設定画面を呼び出すにあたっては、ViewメニューにあるToolbarsのCustomizeオプションを用いてツールバーにCLEOアイコンを配置しておいてもよい。

 最初に行うべき設定は、作成するパッケージの保存先である。これには分かりやすい名前を付けた専用フォルダを作成しておき、Directoryアイコンの画面でそのファイルパスを直接入力するかファイルツリーをブラウジングして選択すればいい。こうした保存用ディレクトリの作成先はローカルのハードドライブだけでなく、USBメモリなどのリムーバブルメディアとすることもできる。

 機能拡張を頻繁にインストールするユーザにとって重要な意味を持つのが、CLEOのOverwriteオプション設定であり、ここにはOverwrite、Append、Abortという3つのオプションが用意されている。このうちOverwriteを選択しておくと、CLEOでの保存時に同名のバックアップが存在する場合に古い方のパッケージが上書きされる。これに対してAppendを選択しておくと、すべてのテーマや機能拡張を丸ごとバックアップするのではなく、前回のFEBE/CLEOによるバックアップ時からの変更分を既存パッケージに追加する形でのバックアップが行えるようになる。

 当然ながらこうしたバックアップは、異なる名前を付けて複数作成しておくこともできる。FEBE設定についても細かな指定が可能なので、複数のバックアップファイルを使い分けることにより、ユーザによるFirefoxの使用パターンを始め、セキュリティ(オンラインバンキングやクレジットカード決済)、グラフィックス、リサーチなどの要件に合わせて、用途に応じたFirefox機能拡張の組み合わせをプロファイル化しておくという使い方が可能となるのだ。具体的な手順としては、FEBEに必要な設定を施した上で用途別に使用する機能拡張群を個々のプロファイル別にバックアップしておき、CLEOを用いてパッケージの作成と管理を行えばいいのである。

パッケージ作成の実際

 実際に.xpiファイルへのパッケージ化を行うには、Tools → FEBE → CLEO → Create Cleopackで呼び出される実行画面にてバックアップ対象を選択する。この操作についてはCLEO側でSelect Items to Packageを選択することにより、事前にFEBEでバックアップしておいたFirefoxの機能拡張ファイルが一覧されるようになっている。ここに表示される機能拡張およびテーマのすべてを一括で選択するにはCtrl-Aキーを押せばよく、またCtrlキーを押しながら左クリックすることで個別選択をすることもできる。パッケージ作成が完了するとCLEOからは、その保存先のファイルパスが表示される。私の場合、72個の機能拡張と4個のテーマ(ちょっと入れすぎかな?)を使用しているが、これらをバックアップしたファイルは10MBのサイズに収まった。またバックアップした.xpiファイルを他のコンピュータでも使用したい場合などは、Firefox用Gspace機能拡張を併用してバックアップファイルをGmail Spaceに送信するようにしておくことで、ネットワークを介したアクセス、ダウンロード、再インストールがより簡単に行えるようになるはずだ。

 このように.xpiファイル形式のバックアップパッケージ作成にはFEBEおよびCLEOという2つの機能拡張が必要であるが、こうして作成されたバックアップパッケージは一般の機能拡張と同様に標準状態のFirefoxでそのままインストールすることができるので、再インストールに限ればどちらの機能拡張も必要とはされない。

 CLEOパッケージをバージョン違いのFirefoxにインストールする場合、機能拡張の互換性に起因した問題に遭遇することがあるが、そうした際には該当する機能拡張のinstall.rdfファイルを編集し、インストール先Firefoxのバージョンに適合した内容に変更することで回避できることがある。この作業をKonquerorやNautilus上で行う場合は、ViewメニューにあるShow Hidden Filesを有効化しておかなくてはならない。そして.Mozillaディレクトリにある機能拡張用ディレクトリに移動して問題の原因となっている機能拡張を特定し、root権限を取得した上でテキストエディタにてinstall.rdfファイルを開き、最大バージョンの指定行をインストール先Firefoxのバージョンに合わせるよう変更して保存しておく。必要な処置が終わったら、FEBEによるバックアップおよびCLEOによるパッケージ化を再実行すればいい。

 このようにFEBEとCLEOを併用することで、任意のFirefox間で相互にインストール可能な機能拡張バックアップを作成することができるのだが、これら両機能拡張の作成者であるChuck Baker氏は、各種の機能拡張におけるプレファレンスデータを保存するOPIE(Ordered Preference Import/Export)という機能拡張も作成している。現行のOPIEはスタンドアローンで利用する仕様となっているが、Baker氏は将来的にFEBE/CLEO/OPIEの統合パッケージをリリースすることも視野に入れているそうだ。

Linux.comでは毎週月曜日に、機能拡張、プラグイン、アドオンに関する新着記事を掲載している。自分で使用して便利だと感じたツールについて、その機能や操作上のヒントなどを1,000ワード以内にまとめた記事を投稿していただければ、採用された方にはもれなく100ドルをお支払いする(なお、既に同じテーマが最近取り上げられていたり掲載予定になっている可能性もあるので、事前に確認のメールを送って頂きたい)。

Linux.com 原文