オープンソースの理念を持つWindows開発者たち

コードを自由に開発し配布することを選んだグループであれば、オープンソース・コミュニティは、どのようなグループでも受け入れられるだろうか。それがもし可能なら、OpenNETCF.orgのメンバもオープンソース・コミュニティの一員である。たとえ、彼ら全員が忠実なWindowsユーザであっても。

OpenNETCF.orgのメンバーは.Net Compact Framework向けのエクステンションを開発している。そして、採用しているライセンス条件の下に、ソースコードを誰とでも共有する。そのコード・ライセンスは、何と、今年、Microsoftに絡んでSlashdotで話題になった「shared source」なのだ。OpenNETCF.orgの開発者たちは、自分たちはオープンソースの理念の下で活動しているのだと言う。

.Net Compact Frameworkがベータ・テスト段階に入ったときのことだ。.Net開発者のあるグループがディスカッション・フォーラムに顔を出すようになった。これが、OpenNETCF.orgの端緒である。創設以来OpenNETCF.orgのアドバイザリ・ボードに名を連ねるNeil Cowburnの述懐するところでは、彼らはCompact Frameworkでうまくいかずに困っている人たちに「チョンプロ(小さなコード)」を書いていたという。

Cowburnとその友人Chris Tackeは数か月間フォーラムで相談を受けては回答していたが、そのうちにチョンプロがどんどん長くなっていくことに気が付いた。そこで、Webサイトを作って、自分たちが作ったソースコードをすべて公開することにしたのだ。OpenNETCF.orgの黎明である。当初は類似性のないコードの「島」がバラバラに存在するだけだったが、やがて.Net Compact Frameworkの機能性を広げる、小型デバイスの完全なフレームワークへと発展した。「基本的に、このフレームワークのすべてを取り上げ、我々にできる限り拡張する」と、Cowburnは抱負を語る。

彼らは、.Net Compact Frameworkを広めるために、いわゆるオープンソース・ライセンスを採用した。「我々がどのようにコードを書いたのかを伝えたいと考えたのだが、それにはソースコードを公開するのが一番の早道だ。ソースコードを見ればいろいろなことがわかるし、.Net Compact Frameworkで実際にできることを示す優れたサンプル集になる」

アドバイザリ・ボードは、当初、OSI-approved licenseの一つであるLesser General Public License(LGPL)の採用を考えたが、皮肉なことに、LGPLは彼らが望むほどにはオープンではなかった。「我々の希望とは差があった。LGPLでは、ソースコードはすべて(それを変更した人が)公開しなければならないが、我々の場合、この条件は厳しすぎた」とCowburnは説明する。

そこで、ASP .Net Shared Source Licenseを僅かに変更したものを採用することにした。「我々が唯一制限したかったのは、ソースコードを抜き出して(そのまま)売ることだ。方法は異なるが、あのライセンスであれば可能だ。補償条件と、我々が書いたソースコードの知的財産権が手元に残るという条件があるのだ」(Cowburn)

この5月、Microsoftは、Windows Installer XML(WiX)をIBM Public Licenseの下でSourceForgeにリリースし、ニュースに話題を提供した。続いて6月、Windows CEオペレーティング・システム向けShared Source Licenseの制限を緩和して、ニュースになった。Linuxコミュニティからユーザと開発者のコミュニティの「実力」を学んだMicrosoftは何とかその事実を受け入れようとしているのだと、Cowburnは解説する。

「Microsoftのソフトウェアを何年も使っていると、面白いことに、協力者・開発者・ユーザに対する同社の接し方の心理が徐々に変わってきているのがわかる。それがLinuxユーザの間にある連帯感にまで成熟するには、さらに長い時間を要するだろう。しかし、その方向には向かっている」(Cowburn)

Linuxはコンピュータサイエンスが数十年かけて獲得した知恵に挑戦してきたのであり、ソフトウェア開発の「方法論を書き換えた」のだとCowburnは言う。「大規模プロジェクトで仕事することに憧れながらも、大きなソフトウェアハウスに属していないなど、さまざまな理由でそれが実現できずにいる、そんなソフトウェア開発者の時代はもはや過去のものだ」(Cowburn)

Cowburnによれば、OpenNETCFのメンバのほとんどはMicrosoft MVPである。しかし、Microsoftとの関係はそれだけであり、どのような形であれMicrosoftの資金提供は受けていない。「資金集めはまったくしていない。スポンサーはいないのだ。しかし、精神的には、Microsoftの全面的な支援がある。我々の.Netへの貢献は高く評価されているが、それは、我々のサイトが.Net Compact Frameworkの持つ可能性のショーケースだからだ」

「我々は、.Net Compact Frameworkを広めようとしている開発者にすぎない。.Net Compact Frameworkの本当の力を知ってほしいだけなのだ」

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