Linux勧告ウォッチ - 2005年11月11日(金)

今週は、OpenSSL、httpd、Horde3、OpenVPN、chmlib、ClamAV、libungif4、gpsdrive、awstats、kdelibs、giflib、fetchmail、ImageMagick、scim-qtimm、e2fsprogs、drakxtools、emacs、w3c-libwww、libungif、flash-pluginに関する勧告が公開された。配布元には、Debian、Gentoo、Mandriva、Red Hatが含まれる。

SELinux管理
著者:Pax Dickinson

Security Enhanced Linux特集第3回にようこそ。第1回ではSELinuxの背景について、第2回ではSELinuxのアクセス決定について説明した。今週は、SELinuxシステムと標準のLinuxシステムの管理の相違点について解説する。Linuxシステムの管理に関する一般的な知識のほとんどはSELinuxシステムにもあてはまるが、SELinuxを使用する際には、重要な追加点と変更点を理解しておく必要がある。

permissiveモードとenforcingモード

問題が発生して、その問題の原因がSELinuxかどうかを見極めることが必要になる場合がある。そのような場合に備えて、SELinuxにはモードをenforcingからpermissiveに変更したり、元に戻したりする機能がある。enforcing(強制)モードは名前のとおり、SELinuxでポリシーアクセス決定を強制的に適用するモードだ。これはSELinuxの標準の操作モードである。これに対し、permissive(許容)モードは、開発やトラブルシューティングのために用意されている。このモードでも、試行された操作が許可されているかどうかがセキュリティポリシーでチェックされ、拒否の場合にはシステムログに記録されるが、実際にはどの操作も拒否されない。

permissiveモードに変更する場合は、必ずsysadm_r roleロールにログインする(詳細については前回の記事を参照)。setenforce 0コマンドを発行するとシステムはpermissiveモードになり、setenforce 1コマンドを発行するとenforcingモードに戻る。現在のSELinuxモードを確認するには、getenforceコマンドを使用する。

SELinuxを完全に無効化するには、スタートアップ時にカーネルコマンドラインにselinux=0を渡す方法がある。ただし、この場合SELinuxは完全に無効になり、新しいファイルに正しいファイルコンテキストのラベル付けがされず、SELinuxを有効化したときに再ラベル付けをしなければならなくなるので、この方法はお勧めしない。これよりはpermissiveモードを使用する方がよい。/etc/selinux/configファイルを編集して常にpermissiveモードで起動するように設定することもできる。

ファイルコンテキストのラベル付け

SELinuxシステム上の各ファイルには、拡張ファイル属性を使用するSELinuxファイルタイプが設定される。SELinuxではこれらの属性を使用することが必須であり、システム管理への影響を把握しておく必要がある。

SELinuxに使用する新しいファイルシステムをフォーマットする際には、これらの拡張属性をサポートするファイルシステムを使用する必要がある。ext2ファイルシステムとext3ファイルシステムは拡張属性をサポートしており、xfsファイルシステムも動作することがわかっているが、reiserfsには現在拡張属性サポートは含まれていない。

SELinuxシステムでファイルのバックアップをとる場合、これらの拡張属性に対応し拡張属性もバックアップできるバックアップ方式を使用する必要がある。たとえば、標準のtarコマンドでは拡張属性はバックアップされないので、代わりにstarを使用する。starはtarの拡張版なので大きな問題はないが、tarコマンドを呼び出すバックアップ スクリプトを作成している場合には付随作業が発生する。

SELinuxで発生する問題の多くは、誤ったラベルがファイルに付けられていることに起因している。不審なエラーが発生したり、誤ったラベルが付いたファイルが見つかったりした場合、最も信頼性が高い最善の対処方法は、touch /.autorelabelコマンドを発行してからリブートすることだ。これによって、システムの起動時に、ファイルを開いてサービスを開始するより前に、ラベルが付け直される。ファイルを適切なコンテキストにリストアするのにrestoreconコマンドを使用することもできるが、この場合、誤ったラベルの付いたバイナリによって開始されたプロセスの実行中コンテキストは変更されないので、問題が発生する可能性がある。

chconコマンドを使用するとファイルのコンテキストを変更できる。ただし、ファイルにポリシーでデフォルトコンテキストが設定されている場合、ファイルシステム全体で再ラベル付けをすると、ファイルがそのデフォルトコンテキストにリセットされる。chconは、ポリシーで確定的な変更を行う前に新しいファイルコンテキストをテストするのに便利だが、chconを使用して設定されたコンテキストにシステムが依存していると、グローバルな再ラベル付けが必要になった場合に問題が発生する可能性がある。

最後に、cpコマンドとmvコマンドを使った場合のファイルのコピーと移動における相違点を把握しておくことが重要だ。mvを使用してファイルを移動すると、移動先のファイルでも元のコンテキストが維持される。cpを使用してファイルをコピーすると、コピー先のディレクトリに基づく新しいコンテキストがファイルに継承される。これは、見落としていると問題を招きやすい重要な違いである。

記事全文:
http://www.linuxsecurity.com/content/view/120700/49/


Debian
Debian:OpenSSL 0.9.6パッケージの暗号化の弱点の修正
2005年11月4日

パッケージが更新された。

Debian:OpenSSLパッケージの暗号化の弱点の修正
2005年11月4日

パッケージが更新された。

Debian:thttpdパッケージの安全でない一時ファイルの修正
2005年11月4日

パッケージが更新された。

Debian:Horde3パッケージの安全でないデフォルトインストールの修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Debian:OpenVPNパッケージの複数の弱点の修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Debian:squidパッケージの逆行の修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Debian:chmlibパッケージの複数の弱点の修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Debian:ClamAVパッケージの複数の弱点の修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Debian:OpenSSLパッケージの暗号化の弱点の修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Debian:enigmailパッケージの情報漏洩の修正
2005年11月8日

パッケージが更新された。

Debian:libungif4パッケージの複数の弱点の修正
2005年11月9日

パッケージが更新された。

Debian:gpsdriveパッケージの任意のコード実行に対する修正
2005年11月9日

パッケージが更新された。

Debian:awstatsパッケージの任意のコマンド実行に対する修正
2005年11月10日

パッケージが更新された。

Debian:kdelibsパッケージのバックアップファイル情報リークの修正
2005年11月10日

パッケージが更新された。

Gentoo
Gentoo:giflibの複数の弱点
2005年11月4日

giflibが、不正な形式のイメージを処理する際に、NULLを逆参照する、または境界を越えて書き込みを行い、これがDenial of Serviceまたは任意のコードの実行につながる可能性がある。

Gentoo:ClamAVの複数の弱点
2005年11月6日

ClamAVに、任意のコードのリモート実行およびDenial of Serviceの弱点となる多くのセキュリティ欠陥がある。

Gentoo:GNUMP3dのディレクトリ・トラバーサルとXSSの弱点
2005年11月6日

GNUMP3dにディレクトリ・トラバーサルおよびクロスサイト・スクリプティング攻撃の弱点があり、情報漏洩やブラウザ侵入につながる可能性がある。

Gentoo:fetchmailのfetchmailconfのパスワード漏洩
2005年11月6日

fetchmailconfでファイルアクセス許可が正しく処理されず、一時的に機密情報が他のローカルユーザから見えてしまう。

Gentoo:OpenVPNの複数の弱点
2005年11月6日

OpenVPNクライアントに任意のコードの実行の弱点がある可能性があり、OpenVPNサーバにDenial of Serviceの弱点がある。

Gentoo:QDBM、ImageMagick、GDALのRUNPATH問題
2005年11月8日

複数のパッケージにRUNPATH問題があり、”portage”グループのユーザが権限を昇格できる可能性がある。

Gentoo:libgdaのフォーマット文字列の弱点
2005年11月8日

libgdaにフォーマット文字列の弱点が2件あり、任意のコードの実行につながる可能性がある。

Mandriva
Mandriva:mandriva-releaseパッケージの情報の更新
2005年11月7日

最新のmandriva-releaseパッケージでは、修正されたCREDITSファイルが提供されている。

Mandriva:clamavパッケージの複数の弱点の修正
2005年11月7日

パッケージが更新された。

Mandriva:openvpnパッケージの複数の弱点の修正
2005年11月8日

パッケージが更新された。

Mandriva:scim-qtimmパッケージの正しくないx86_64用Requireの修正
2005年11月9日

scim-qtimmパッケージのRPM Requireにあるバグにより、このパッケージはi586プラットフォームにのみインストール可能で、x86_64にはインストールできない。これは、libqt3(とlib64qt3)の名前指定の相違が原因になっている。この更新によってRequireが修正され、パッケージをMandriva Linux 2006/x86_64にインストールできるようになった。

Mandriva:e2fsprogsパッケージのsegfaultの修正
2005年11月9日

mklost+foundプログラムは、Mandriva Linux 2006上でsegfaultを発生していた。この更新によってこの問題は修正されている。

Mandriva:ldetect-lstパッケージのPCI情報の更新
2005年11月9日

最新のldetect-lstパッケージのハードウェアデータベースでは、5つの新しいPCIモデム定義が提供されている。

Mandriva:drakxtoolsパッケージの複数のバグの修正
2005年11月9日

最新のldetect-lstパッケージのハードウェアデータベースでは、5つの新しいPCIモデム定義が提供されている。

Mandriva:libungifパッケージの複数の弱点の修正
2005年11月9日

libungifで、GIFイメージのデコード処理に複数のバグが見つかった。

Mandriva:emacsパッケージのLispの弱点の修正
2005年11月9日

Emacs 21.2では、テキストファイルのローカル変数セクションでLispコードを実行する前に、ユーザへの確認または警告が発行されない。これにより、ユーザと共謀した攻撃者がmode-name変数を使用して任意のコマンドを実行できる。

Mandriva:fetchmailパッケージのfetchmailconf弱点の修正
2005年11月9日

Thomas WolffとMiloslav Trmacは、fetchmailconfプログラムにある競合状態を発見した。

Mandriva:w3c-libwwwパッケージのDoS弱点の修正
2005年11月9日

Sam Varshavchikは、W3C libwww(w3c-libwww)用HTBound.cのHTBoundary_put_block関数によって、リモートサーバでDenial of Service(セグメンテーションフォールト)が発生することを発見した。これは、範囲外読み取りを発生させるように細工したmultipart/byterange MIMEメッセージを介して発生する。

Mandriva:drakxtoolsパッケージの複数のバグの修正
2005年11月9日

パッケージが更新された。

Red Hat
RedHat:重要:libungifのセキュリティ更新
2005年11月3日

2つのセキュリティ問題を修正した新しいlibungifパッケージが公開された。Red Hatセキュリティ・レスポンス・チームの評価では、この更新のセキュリティ重要度は重要となっている。

RedHat:重大:flash-pluginのセキュリティ更新
2005年11月9日

セキュリティ問題を修正した新しいMacromedia Flash Playerパッケージが公開された。Red Hatセキュリティ・レスポンス・チームの評価では、この更新のセキュリティ重要度は重大となっている。

原文