国産Googleはいかがなものか

鵜飼さんが「む!」と言った先にあった“鉄は国家なり”のやり方から抜け出せない 国の経済政策という大前研一氏のコラム。この2ページ目に実に心の響く一言があった。
 そもそもトップでない分野をトップにしようと思っても、日本政府では逆立ちしても無理というものだ。以前、(時価総額が10兆円という)グーグル対抗の検索エンジンを日本で作るといって数十億かける、という経産省のドンキホーテ的シナリオがリリースされたが、あれはいったいどうなったのだろう。

素晴しい。素直に拍手である。5ページ目の

国でやるべきことは民間のカネが一気に市場に出てくるようにすることである。あとは需要もカネもある日本のことだから個別の産業をどうするのか、ということに政府は口を突っ込む必要性は全くない。

この発言が核心なわけだが、まあ何というかいきなりコロコロとでてきた国産OSに次は国産Googleといったあたりには閉口してしまう。まあ、別に国産オープンソースと同じでそこに注目すること自体は悪いわけじゃないのだけども、そのやり方で市場経済の起爆剤となるとは思えないところが何とももどかしい。

国産Googleもとい情報大航海プロジェクトとやらにどれだけの予算が付いているかはよく知らないが、報道にあるように仮に年間100億としても実際に開発費に使えるのは半分といったところだろうか。で、それを参加38団体で分けると1億ちょいといったところ。これを利害の渦巻く38団体の思惑でいろいろ駆け引きがあった上で分け前となるのだろうが、とりあえずその程度ではGoogleがやろうと思えば1Qでやれるようなことしかできないし、そもそも38団体が結束した成果は期待できそうにない。とりあえずの救いはオープンソースということも意識していそうなので、成果が闇に葬られるということはない(と思われる)ということだろう。あと、プロジェクトの末期あたりに今後を心配する技術者には、Googleという就職先がちゃんとあるのも良いことだ。

それにしても何というか、同じことをやるなら各ポータルがGoogleに検索を切り換える前にやればいいし、今からどうしてもやるのなら国家の浮沈がかかるぐらいの予算をかけてほしいものだ。まあ冗談はさておき、CNet的な表現なので気持ち悪いがweb 2.0だとか言われている企業だとかテクノロジーベンチャーへ息の長い投資がされる環境を作ったほうがまだいいんじゃないだろうか。既存の会社の延命よりもこれからの会社に期待するほうが健全だ。あとはそういったベンチャーが自力で売上を上げやすくなるような環境の整備ということもあるかもしれない。ネットベンチャーにいたっては皮肉なことにGoogle AdSenceに頼っているところも多いはず。